PECC(太平洋経済協力会議)試算
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 21:59 UTC 版)
「TPP協定交渉時の資料・交渉時に議論された影響」の記事における「PECC(太平洋経済協力会議)試算」の解説
ブランダイス大学のピータ・ペトリ教授が担当したPECCの試算では、関税撤廃に加えて非関税措置の削減、サービス・投資の自由化の効果も含めて試算した。 TPP(12か国)に参加した場合は1050億ドル程度(10兆円程度,GDP比2.0%)、RCEPに参加した場合は960億ドル(GDP比1.8%)、FTAAPに参加した場合は2280億ドル(GDP比4.3%)の効果がそれぞれあるとしている。 ペトリらは労働生産性と実質賃金が同じ上昇率になるとする前提条件も用いているが、現実には1970年代後半から米国の労働分配率は低下している。 ペトリらは計算を容易にするために、政府の財政収支と経常収支が共に均衡しているとする条件も用いている。だが現実の世界では、景気悪化の局面では政府は財政赤字を拡大させて景気底上げを図るだろう。経常収支の均衡も現実的とは言えない。リーマンショック以前、米国と東アジアとの間で経常収支の大きな不均衡が生じていた。 ペトリらによる試算は2008年のリーマンショック以前のデータに基づいている。計算過程において経済成長、輸入額、政府債務額、設備投資等様々な数値・変数を関連付けるわけだが、危機以前のデータを用いればその関連付けが危機以前のトレンドを使ってなされることになる。結果として算出されるマクロ経済指標は危機以前の延長上のものでしかなく、金融危機以後の経済事情がうまく反映されない。 ペトリらはFDI(foreign direct investment)が大幅に増加するというシナリオで試算を出している。TPPの全インカムゲインの3分の1を生み出すというシナリオである。
※この「PECC(太平洋経済協力会議)試算」の解説は、「TPP協定交渉時の資料・交渉時に議論された影響」の解説の一部です。
「PECC(太平洋経済協力会議)試算」を含む「TPP協定交渉時の資料・交渉時に議論された影響」の記事については、「TPP協定交渉時の資料・交渉時に議論された影響」の概要を参照ください。
- PECC試算のページへのリンク