PDFとPostScript
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/31 05:08 UTC 版)
「Portable Document Format」の記事における「PDFとPostScript」の解説
PDFは、アドビシステムズが開発し印刷業界の標準として普及していたページ記述言語PostScriptを元に策定された。 PDFでは、コンピュータ上でのデータ交換のために次の機能が追加されている。 ファイルに含まれる各ページへのランダムアクセスに対応。この機能により、必要なページをすばやく表示できる。PostScriptでは前のページの処理結果がないと現在ページの描画が出来ない場合があるが、PDFでは各ページで完結したコンテンツにされる。 フォントの埋め込み 文書情報など、本文以外の情報を入力できる。PDFではしおり・リンク・注釈なども本文とは別の情報として扱われる 透明の概念(後にバージョン1.4で追加) PDFには、PostScriptの持っているプログラミング言語としての機能はなく、HTMLなどと同様のデータ記述言語となっている。たとえばPostScriptのif やloopといったプログラム用命令は取り除かれている。一方linetoなどは残されている。これはファイルを開いた場合にエラーが発生する可能性を小さくし信頼性を高めるためという事と同時に、PostScriptが持つ特徴の一つである、インタプリタによる実行環境への依存性を極力排除していく方向性からである。 このように元々PDFはPostScriptから発展・派生したという経緯を持つため、PostScriptとPDFは似た特性を持っており、相互の変換は比較的容易である。実際、Acrobatに含まれるDistillerでは、各種アプリケーションのデータをいったんPostScriptファイルに変換(WindowsやMacintoshではプリンタードライバを経由する形で行われる)し、それを元にPDFを生成している。しかし、PDFを作成するには、必ずしもPostScriptを経由する必要はなく、例えばGDI経由で直接PDFを作成することも可能であり、実際にそういった形で動作(GDI→PDF)する製品は多数存在する(「いきなりPDF」もこのタイプである)。 旧バージョンのQuark XPressなどからPDFファイルを作成するには、PostScriptファイルを生成したうえで"Distiller"というAdobe Acrobatに添付のソフトを使ってPDFファイルに変換するのが一般的である。また、Adobe InDesign、Illustrator、PhotoshopやQuark XPress(バージョン6以降)を使うと、Acrobatなどは使わずに直接PDFファイルを作成できる。
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