PA-34-200 セネカ I
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/03/23 06:48 UTC 版)
「パイパー PA-34」の記事における「PA-34-200 セネカ I」の解説
最初の量産モデル・PA-34-200 セネカ Iは1971年に初飛行し、同年に量産に入った。当時パイパー社ではPA-23 アズテックやPA-30 ツインコマンチなどの双発機のシリーズを有していたが、セネカより大型のアズテックは旧式化してきており、より小型のツインコマンチはキャビン容量や積載量の点で自家用以外の用途には不向きであり、新たな双発機のニーズに応えるためセネカは新設計された。 速度性能より実用性や取扱いの容易さなどに重きを置いて開発され、同社PA-32型(チェロキー・シックス)の部品を多く活用している。胴体はほとんどそのまま利用、主翼も矩形翼(翼断面 NACA652-415 層流翼)のまま翼幅を10mから11.9mに延長、これは単桁構造にプレーンエルロンと人力手動スロッテッドフラップのシンプルな造りである。水平尾翼はスタビレーター式を踏襲しスパンを延長、垂直尾翼は弦長、高さともに拡大され、大型化されたトリムタブを持つ。車輪はPA-28R(チェロキーアロー)の構造を活用した。脚の上げ下げは電動ポンプによる油圧で行う。エンジンはライカミング社 IO-360-C1E6 4気筒 200hp/2700rpm、左右エンジンが逆回転となっており、直進性の向上とともに片肺時の臨界発動機の概念を不要にした。左右エンジンの互換性こそ無くなったが、取扱いの容易さには大きく寄与している。当時パイパー社の双発機シリーズでは、プロペラ軸を延長しエンジンナセルから遠ざけてプロペラ効率を上げる手法が喧伝されていたが、PA-34ではこの構造は採用されなかった。幅広の胴体や客室後方の大型扉によりキャビンアクセス、居住性、積載性は大幅に向上。速度性能こそツインコマンチに劣る(PA-30 246mph 24000ft : PA-34 196mph SL)ものの、大型の主翼によって離着陸性能・上昇性能・有償積載量(PA-30 1340lb :PA-34 1620lb)は向上している。これらの実用面での性能が評価され、またツインコマンチより安価であったこともあり、発売当初から売れ行きが良く、以後パイパー社の中型レシプロ双発機の主役となっていった。
※この「PA-34-200 セネカ I」の解説は、「パイパー PA-34」の解説の一部です。
「PA-34-200 セネカ I」を含む「パイパー PA-34」の記事については、「パイパー PA-34」の概要を参照ください。
- PA-34-200 セネカ Iのページへのリンク