NCAAの「インディアン・マスコット禁止令」
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「インディアン・マスコット」の記事における「NCAAの「インディアン・マスコット禁止令」」の解説
全米の大学スポーツの統括機関である、「全米大学体育協会」(NCAA)も、人権問題の見地からのこうした抗議を受けて、独自の調査を始めた。アリゾナ大学のステファニー・フライバーグ心理学助教授は、「インディアン・マスコットのイメージは、アメリカインディアンの児童に有害である」としている。2003年に彼女がアメリカインディアンの高校生と白人の大学生に「インディアン・マスコット」のイメージを見せ、聞き取り調査を行った。その結果、彼女は、「これはインディアン学生に限って、その自尊心を萎えさせるものである」と述べている。NCAAは、「同助教授の研究結果がインディアン・マスコットの禁止決定に関与した」とコメントしている。 2005年8月、NCAAの、14人の白人男性、2人の白人女性、3人の黒人で構成される経営委員会は、全米の2つの大学を含む18の学校が使用しているチーム名が、インディアンに対して「文化的に敵対的」で「虐待的である」と裁定し、同年のチャンピオンシップ・ゲーム以降、傘下のスポーツ・チームから「インディアン・マスコット」を禁止すると決定した。これに合わせ、全米の多くの小中高大学校が、そのチーム名や意匠を、インディアン民族のイメージから動物や物品に変えた。 NCAA広報担当者のボブ・ウィリアムズは、この「インディアン・マスコット禁止令」を援護してこうコメントしている。 このような問題で、あなたを誘導するために投票に頼ったわけではありません。それが本当だったら、「公民権法」だとか「議決権」の法律、「女性選挙権」といった、平等な権利に関わる、この国をより良い方向に変えていった様々な事柄は、起こりもしなかったでしょう。 NCAAの決定を受けて、2006年2月1日から大学スポーツの選手たちのユニフォームには、「敵対的」で「虐待的」な図柄やロゴを表示することが出来なくなった。応援団、チアダンサーやバンドメンバーは、2008年8月1日を以て、同様に彼らのユニフォームから、そのような図柄やロゴを削除されることとなった。しかしNCAAの禁止通告も一貫しておらず、各学校ごとの判断でその扱いは大きく変わるものとなっている。 ノースカロライナ大学は学内競技での「ブレーブス」の使用を継続している。ユタ大学はユテ族学生への奨学金制度の見返りに、競技チームの「ユテ族」の名称を商標登録している。このように、NCAAの決議後も「インディアン・マスコット」を継続使用している高校大学はまだ数多い。
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