M6 37mm砲とは? わかりやすく解説

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M3 37mm砲

(M6 37mm砲 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/21 06:55 UTC 版)

M3 37mm砲
制式名 37mm Gun M3 on Carriage M4
口径 37mm
全長 3.92m(13ft)
全幅 1.61m(5.28ft)
全高 0.96m(3.14ft)
重量 414kg(912lbs)
砲身長 1,980mm(53.5口径
仰俯角
左右旋回角 60°
運用要員 4-5名
初速 884m/s(2,900ft/s)
最大射程 6.9km(4.28mi)
生産期間 1940年1943年
生産総数 18,702門

M3 37mm砲は、第二次世界大戦アメリカ軍が使用していた対戦車砲である。アメリカ軍の最初の対戦車砲でもある。

概要

M3 37 mm砲は、1930年代対戦車砲として設計された。アメリカ軍は1930年代、対戦車砲を装備していなかった(それまでM1916 37 mm歩兵砲を使用していた)が、スペイン内戦でのドイツ軍の37 mm対戦車砲の成果を見て、開発に乗り出した。

開発に当たり、参考として、仏オチキス 25 mm対戦車砲と独ラインメタル 37 mm対戦車砲を米国に取り寄せて、1935~37年に試験を行なっている。仏独の対戦車砲より、米国の新型砲の貫通威力が優位であることが確認(砲口初速2,600 ft/s)され、戦車砲としても流用されることになった。

大戦期アメリカ火砲の特徴として、37 mm対戦車砲に限らず、75野から105榴、155榴に至るまで、高速牽引対応でありながら、砲架はサスペンションを持たず、中空ゴムタイヤの柔軟性にのみに緩衝を頼るスタイルであった。米軍では1930年代前半に、M1897野砲の高速牽引対応実験として、サスペンションは無いままに空気入りゴムタイヤを履かせただけのものを試していたが、その程度でも良好な舗装路上で40 km/h程度(路面状況に応じて、未舗装では24 km/h、路外では8 km/hといった具合に抑える)まではいけたことから、合理的に割り切られた模様。

1940年から生産が始まり、1943年までに、約18,000門が生産された。

第二次世界大戦では北アフリカ戦線イタリア戦線に投入された。37 mm口径の対戦車砲としては砲弾重量が重く、砲弾の初速も高く、優秀な貫通性能を持っていたが、ドイツ戦車装甲強化についていけず、装甲を撃ち抜けない「ドアノッカー」と化してしまった。このため、1943年には生産が終了し、後継にイギリスオードナンス QF 6ポンド砲ライセンス生産したM1 57 mm砲が新たに配備された。

太平洋戦域では、日本軍の戦車は防御力でドイツ戦車に大きく見劣りしたため終戦まで使用が続けられており、対戦車戦闘だけでなく榴弾やM2 キャニスター弾を用いての火力支援にも使用された。

平地であれば5人程度の人員で牽引して移動させることができる

島での戦闘では、5人程度の人力で移動できる軽量な37 mm砲は便利で、キャニスター弾を用いた大型ショットガンとして直接射撃に多用され、日本軍の突撃を破砕したり、射線を遮るジャングルの下生えを刈り取るのにも使われている。

日本軍は、フィリピンで鹵獲した米国製三十七粍対戦車砲(おそらくM1916 37 mm歩兵砲も混ざっている)の内、M3 37 mm砲のことを「ラインメタル式」と呼んだ。

バリエーション

M3 37mm砲は戦車砲としても使用されており、短砲身化されたM5(50口径)と従来の砲身長のM6(53.5口径)がある。

T3
初期試作品。
T7
半自動式水平鎖栓式のプロトタイプ
T8
螺式のプロトタイプ。
T10
1938年にM3として正式採用された垂直鎖栓式。
  • 生産型
M3
基本形。牽引式。手動閉鎖器付き。
M3A1(1942)
マズルブレーキを取り付けるために砲身先端にネジが切られた型。ただし、マズルブレーキが支給されることはなかった。
M5 37 mm 戦車砲。軽戦車の主砲として使用された
M5(1939)
短砲身化された戦車搭載型。基本的構造は牽引砲のままなので、駐退復座機が砲塔外に露出している。
M6(1940)
M3と同じ砲身長の戦車搭載型。半自動閉鎖器付き。駐退復座機を砲塔内に収納するように改良した。
  • 車両搭載砲
T1、T1E1
試作品。
T5
最終試作品、M4として正式採用される。
M4
最初の量産型。
M4A1
1942年に改良された。

搭載車輛

車載砲としても多くの車輛に搭載された。

弾種

M3は、37x223mmR弾薬を使用していた。

Available ammunition
種類 型番 重量, kg(完備弾重量/弾頭重量) 内容物 初速, m/s(M3&M6/M5)
徹甲弾 M74徹甲弾 1.51/0.87 - 884/870
APCBC-T APC M51 Shot 1.58/0.87 - 884/870
榴弾 M63榴弾 1.42/0.73 TNT, 39g 792 / 782
榴弾 HE Mk II Shell 1.23/0.56
キャニスター弾 M2 キャニスター弾 1.58/0.88 122発の散弾 762/752
曳光弾 TP M51 Shot 1.54/0.87 -
擬製弾(APC M51と同形状) Drill Cartridge M13 1.45/0.87 - -
擬製弾(HE M63と同形状) Drill Cartridge T5 1.45/0.73 - -
空砲 Blank Cartridge 10-gage with adapter M2 0.93/- - -

装甲貫通力

装甲貫通力一覧表, M3または M6
弾種(命中角度) 500yd/457m 1,000yd/914m 1,500yd/1,371m 2,000yd/1,828m
M74徹甲弾(0°) 36
M74徹甲弾(20°) 25
APC M51弾(0°) 61
APC M51弾(20°) 53
APC M51弾(30°, 圧延装甲) 53 46 40 35
APC M51弾(30°, 表面硬化装甲) 46 40 38 33
註:装甲に対する貫通力の試験基準・方法は各国や時代によって異なるため、他の砲と単純に比較することはできない。

M5の貫通力は、どの距離でもおおむね3mmずつ低かった。

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WC-51ウィンチは未装備。オープントップのウェポンキャリア型。荷台部に車体に対し縦方向に兵員用ベンチシートを有する。123,541両生産。WC-21の後継車種に相当。ビープのニックネームで呼ばれる事もある。WC-52ウィンチを装備。オープントップのウェポンキャリア型。荷台部に車体に対し縦方向に兵員用ベンチシートを有する。59,114両生産。WC-51のウィンチ装備型に相当する。WC-22の後継車種に相当。ビープのニックネームで呼ばれる事もある。WC-53ウィンチは未装備。ハードトップのキャリーオールトラック型。外観的にはハードトップの乗用車タイプで、後部にサイドウィンドウがある。8,400両生産。WC-26の後継車種に相当。WC-54ウィンチは未装備。ハードトップの野戦救急車型。29,502両生産。WC-27の後継車種に相当。WC-55GMC、自走対戦車砲型。WC-51またはWC-52の荷台にM3 37mm砲を搭載した車両で、M6 GMCとして制式化された。5,380両生産。WC-56ウィンチは未装備。指揮車両/偵察車型。後部座席を有する、ソフトトップの乗用車型。21,156両生産。WC-23の後継車種に相当。WC-57ウィンチを装備。指揮車両/偵察車型。後部座席を有する、ソフトトップの乗用車型。6,010両生産。WC-56のウィンチ装備型に相当する。WC-24の後継車種に相当。WC-58
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