M.A. Mortenson Co. v. Timberline Software Corp.
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/24 00:33 UTC 版)
「シュリンクラップ契約」の記事における「M.A. Mortenson Co. v. Timberline Software Corp.」の解説
この事件は、建設業者である原告のワシントン州支店が、被告の正規ディーラーを通じて被告開発による建設工事入札補助ソフトを注文して使用したところ、プログラムのバグにより意図していた入札額より低い価格で入札していた結果となったとして、原告が被告に対して損害賠償請求をした事案である。 当該ソフトには、シュリンクラップ契約条項が添付されており、その内容として、プログラムの使用によりライセンスに同意したものとみなされ、同意しない場合は返品できる旨の記載、プログラムのバグにより生じる原告の損害に対する被告の責任はライセンス料の額まで限定される旨の記載(責任制限条項)が含まれていた。 ワシントン州最高裁判所は、2000年、ワシントン州も採用している統一商事法典 (Uniform Commercial Code) の§2-204(物品売買契約成立の一般的要件に関する規定)が、物品売買契約は合意を証するのに足りる方法によっても成立しその締結の時点が確定できない場合でも契約の成立を認定できる旨規定していることを根拠に、一部の条項を後に委ねる契約も許されるとした上で、ライセンス条項はパッケージの色々な所に印刷されている以上、原告はそれを読む機会があり実際に読んだか否は問題にならないこと、旧バージョンも同様のライセンスのもとで使用していたこと、同様のライセンス条項は取引慣行として普遍的に利用されていることなどを理由として、責任制限条項を内容とするシュリンクラップ契約は有効に成立していると判断した。 なお、法廷意見は、被告がシュリンクラップ契約の申込みをし、原告がそれに対して承諾したという法律構成をしている。これに対し、反対意見は、原告がディーラーを通じてソフトを注文したことが契約の申込みであり、被告のディーラーの社長が原告からの注文書に署名した時点で契約が成立しているという法律構成を前提に、シュリンクラップ契約条項の送付は、統一商事法典の§2-209に規定する契約修正の提案であり明示の合意が必要であるとして、原告が明示的にシュリンクラップ契約条項に同意したか否かが審理されなければならないとした。
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