IS-5およびIS-6
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/11 14:23 UTC 版)
1944年、IS-3を設計したコーチン技師により、本車に続くISシリーズの重戦車としてIS-5が計画され、オブイェークト253の名称でモックアップが作られた。これは、IS-4以上にパンターの影響の強いもので、傾斜した圧延鋼板の溶接車体に大型転輪、IS-2のものを大型化したような砲塔を載せていた。 この車両の最大の特徴は、ドイツのエレファント(フェルディナント)重駆逐戦車と同様の、大重量の戦車でも複雑な操行装置を用いずに容易に変速可能なハイブリッド(ガス・エレクトリックではなくディーゼル・エレクトリック)エンジン駆動による電気式変速装置を用いるものとしたことである。 ツィタデレ作戦の際に捕獲されたフェルディナントを研究したデータを元に制作されたハイブリッド式駆動装置を搭載した試作車両はオブイェークト253改めIS-5と命名されたが、完成した試作車には充分な信頼性がないと評価され、最初の試験中に過熱による大爆発を起こした。 事故原因の究明の結果、変速装置の冷却能力が著しく不足していることが判明したが、変速装置を始め駆動装置に充分な冷却機能を持たせると、駆動装置全体が大型かつ大重量になり過ぎて戦車全体の重量が到底実用に耐えないレベルに増大すると判斷され、ハイブリッド機構の搭載は断念された。 IS-6の開発はIS-4の通常型ディーゼルエンジンと機械式トランスミッションを搭載したオブイェークト252として再開され、試作車も製作されたが、車重に対して駆動装置の能力が不足しており満足な性能を発揮できず、そもそもIS-4と同じ従来型の駆動装置を用いるのでは新型車両開発の意味がない、として開発計画は中止された。 IS重戦車シリーズの開発はその後も続行されたが、1945年夏より計画された「オブイェークト260」(1948年にIS-7として完成)も重量過大の上性能面で問題が多いとして量産には至らず、次に開発されたIS-8(後に「T-10重戦車」と改名)の採用・量産をもって完結した。 詳細は「IS-7」および「T-10_(戦車)」を参照
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