HII領域の観測とは? わかりやすく解説

HII領域の観測

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/13 10:36 UTC 版)

HII領域」の記事における「HII領域の観測」の解説

いくつかの明るHII領域肉眼で見ることができる。しかし記録によると、16世紀初めに望遠鏡発明されるまではその存在知られていなかったことがうかがえるガリレオ・ガリレイオリオン大星雲中にある星団それまでヨハン・バイエル星表にもオリオン座θ星という1個の星として載せられていた)を最初に観測した時も星雲存在には気づいていなかった。フランス観測ニコラス=クロード・ファブリ・ド・パイレスク1610年になって初めオリオン大星雲発見したとされている。これらの初期の観測以来多数HII領域が我々の銀河系や他の銀河中に発見されている。 1774年ウィリアム・ハーシェルオリオン大星雲観測し、「形のない火のようなで、いずれ太陽となるような混沌とした物質からなる」と記述している。この仮説確かなものとなるには、約100年後にウィリアム・ハギンスが(妻のマリー・ハギンスとともに様々な星雲分光器観測するのを待たねばならなかった。彼が観測した星雲のうちのいくつか例えアンドロメダ星雲)は、恒星と非常に似たスペクトル持っていた。後にこれらは何千億個もの恒星集まった銀河であることが明らかになった。これに対し別のいくつかの星雲は全く違う様相示していた。銀河スペクトルは強い連続スペクトル中に吸収線含まれるというものだったが、オリオン大星雲やこれに似た他の星雲には数本輝線しか見られなかった。これらの輝線のうち最も明るいものは 500.7nm の波長にあり、当時知られていたどんな元素スペクトル線とも一致しなかった。初めのうち、これらのスペクトル線未知元素よるものではないかという仮説出され、この元素にはネビュリウム nebulium という名前が付けられた。同様の考え方によって、1868年太陽スペクトル分析からヘリウム発見された。 しかし、ヘリウム太陽スペクトルから発見後すぐに地上でも単離されたのに対して、ネビュリウムは発見されなかった。20世紀初めになるとヘンリー・ノリス・ラッセルが、500.7nmのスペクトル線新元素によるものではなく通常とは異なる状態にある既知元素から放出されたものではないか提案した1920年代物理学者たちは、極端に密度の低い気体の中では、電子原子イオンの中で励起され準安定状態エネルギー準位分布できること明らかにした。より密度が高い環境では、これらのエネルギー準位にある電子はすぐに衝突によって低い準位落ちてしまう。酸素原子の中でこのようなエネルギー準位から他の準位電子が移ると、ちょうど500.7nmの輝線生じのである。これらのスペクトル線は非常に密度の低い気体の中でのみ見られるため、禁制線呼ばれるこのような分光観測によって星雲は非常に薄いガスでできていることが明らかになった。 20世紀行われた観測によって、HII領域はしばし高温明るい星が存在することが分かってきた。これらの星は太陽よりも何倍も重く寿命数百万年に過ぎない短命の星である。(太陽程度質量の星の寿命数十億年である。)それゆえHII領域新しい星が作られつつある領域違いない考えられた。数百万年わたってHII領域からは星団生まれ、やがて高温若い星からの輻射圧によって星雲吹き払われる。プレアデス星団星団自分たちの生まれたHII領域を「蒸発」させた一例である。

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