Frostbiteとの格闘
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/14 02:29 UTC 版)
「Anthem (ゲーム)」の記事における「Frostbiteとの格闘」の解説
これほど開発が難航した要因の一つに、ゲームエンジンの「Frostbite」があるとされる。FrostbiteはEAの子会社EA Digital Illusions CE(DICE)により開発され、ファーストパーソン・シューティング(FPS)に使われていたが、後にはEAの他ジャンル作品にも使われるようになった。これによって開発ノウハウの共有や、ライセンス料の節約といったことが期待できた。 バイオウェアも2011年に『DA:I』からFrostbiteを使い始めたが、これは大きな問題をもたらした。セーブやロード、三人称視点などの、以前のエンジンでは当たり前のようにあった機能がFrostbiteには存在せず、開発チームはそれらをゼロから構築せねばならなかった。『ME:A』でも同様の問題に直面し、『Anthem』も同様だった。開発チームにFrostbiteの開発者がおらず、「なぜこういう動作をするのか」「どうしてこんな文章になっているのか」といったこともわからず、内製エンジンのはずが外製エンジンと同様の問題を抱えていた。開発者たちは「Frostbiteでの製作はとにかく複雑で難しく、何をするにも時間がかかる」と語っている。 『Anthem』のチームは開発初期の数年間で、当初考えていたアイディアの多くが、Frostbiteでは不可能ではないにしても、困難であることが分かった。このエンジンは大きく美しい世界を作ることはできたが、野心的なアイディアの全てはサポートできず、エンジンに手を加えるという手もあったがそれにも時間がかかり、環境の変化やサバイバル要素などいくつもの部分を削ることになった。 『Anthem』チームの上部では、当初から『DA:I』や『ME:A』のために作られたシステムを使うのではなく、本作用に一からシステムを構築するという決断をしていた。これには他作品と一線を画すという考えもあったと同時に、本作がオンラインであり、『DA:I』などのシステムが通用しないかもしれなかったからである。しかし、本作のチームは常に人手不足の状況だった。理由の一つとして2016年に『FIFAシリーズ』もFrostbiteに移行し、毎年発売されるこの重要なタイトルに、優秀なスタッフの多くを取られてしまった。EA内ではFrostbiteに精通したスタッフをスタジオ間で争うのが一般的で、バイオウェアはそれに負けるのが普通だった。EAにとっては遥かに売上が大きい『FIFA』や『スター・ウォーズ バトルフロント』などの方が優先されたのである。
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