頑火輝石(Enstatite)

岩手県下閉伊郡川井村道又
Mg2Si2O6 標本の幅約5cm
母岩中に針状結晶が放射状に入っています。
名前の通り耐火性に優れた性質を持っています。
頑火輝石(Enstatite)

Turiani,Morogoro,Tanzania
Mg2Si2O6 標本の高さ約2.2cm
頑火輝石の単結晶です。
耐火性能が優れているために頑火輝石と命名されました。
透明な結晶はカットされて宝石として利用されることもあります。
頑火輝石(Enstatite)


佐賀県東松浦郡玄海町日ノ出松
Mg2Si2O6 画像の幅約3mm、6mm
オリーブ色をした板状の結晶が頑火輝石です。
この産地では玄武岩とかんらん岩ゼノリスの境界にある空隙に
美しい板状の結晶で産出します。
書籍等で苦土かんらん石として紹介されたことがありましたが、
分析の結果で頑火輝石と判明しました。
頑火輝石(Enstatite)

Mogok,Sagaing District,Mandalay Division,Myanmar
Mg2Si2O6 画像の幅約2cm
オリーブグリーンの柱状結晶が頑火輝石です。
この産地では美しい宝石質の結晶を産出します。
頑火輝石
頑火輝石 enstatite | |
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![]() 頑火輝石 | |
分類 | ケイ酸塩鉱物 |
シュツルンツ分類 | 9.DA.05 |
Dana Classification | 65.1.2.1 |
化学式 | Mg2Si2O6 |
結晶系 | 斜方晶系 |
へき開 | 二方向に完全 |
モース硬度 | 5.5 |
光沢 | ガラス光沢 |
色 | 黄緑色、褐色 |
条痕 | 淡灰褐色 |
比重 | 3.2 |
文献 | [1][2][3] |
プロジェクト:鉱物/Portal:地球科学 |
頑火輝石(がんかきせき、enstatite、エンスタタイト)は、ケイ酸塩鉱物の一種。マグネシウムを主成分とする斜方輝石[4]。
性質・特徴
化学組成は Mg2Si2O6 で、Mg が Fe2+ に置換した斜方輝石が鉄珪輝石(てつけいきせき、ferrosilite、フェロシライト)。頑火輝石(En)と鉄珪輝石(Fs)とは連続固溶体をつくるため、En50Fs50 を境にする。かつては2種間を古銅輝石(こどうきせき、bronzite) - 紫蘇輝石(しそきせき、hypersthene) - 鉄紫蘇輝石(てつしそきせき、ferrohypersthene) - ユーライト(eulite)に分けていたが、現在では使われない。
また、同じ化学組成で単斜晶系のものは、単斜頑火輝石という。
学名は、ギリシャ語で『対抗する』を意味する"Enstates"にちなむ。融点が高く、約1400℃に加熱しないと、溶け始めない[4]。つまり、頑(かたく)なに、火に対抗する。これが鉱物名の由来でり、和名も同様である[4]。
産出地
用途・加工法
岩手県川井村道又では、放射状の結晶集合が産し、観賞用に採掘された。
脚注
参考文献
- 黒田吉益、諏訪兼位 『偏光顕微鏡と岩石鉱物 第2版』共立出版、1983年、138-140頁。ISBN 4-320-04578-5。
- N. Morimoto (1989). “Nomenclature of pyroxenes”. Mineralogical Journal (The Mineralogical Society of Japan) 14 (5): 198-221. doi:10.2465/minerj.14.198. ISSN 0544-2540 .
- 森本信男「7 輝石族」 『造岩鉱物学』東京大学出版会、1989年、110-145頁。ISBN 4-13-062123-8。
- 松原聰 『日本の鉱物』〈フィールドベスト図鑑〉学習研究社、2003年、194頁。ISBN 4-05-402013-5。
- 青木正博 『鉱物分類図鑑 : 見分けるポイントがわかる』誠文堂新光社、2011年、150頁。ISBN 978-4-416-21104-5。
関連項目
外部リンク
- Orthopyroxene Subgroup (英語), MinDat.org, 2012年6月16日閲覧。 (英語)
- 福岡正人. “Pyroxene〔輝石〕グループ”. 地球資源論研究室. 広島大学大学院総合科学研究科. 2012年6月16日閲覧。
- “頑火輝石”. 地質標本館. 産業技術総合研究所地質調査総合センター. 2012年6月16日閲覧。
- Enstatiteのページへのリンク