DNAミスマッチ修復における役割
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/01 04:53 UTC 版)
「MLH1」の記事における「DNAミスマッチ修復における役割」の解説
MLH1タンパク質は、DNAのミスマッチの修復を開始する一連の段階において協調的に機能する、ヒトでは7つのDNAミスマッチ修復タンパク質の1つである。ミスマッチ修復の欠陥は大腸がんの約13%でみられるが、他のDNAミスマッチ修復タンパク質の欠乏よりもMLH1の欠乏によるものがはるかに高頻度でみられる。ヒトの7つのミスマッチ修復タンパク質は、MLH1、MLH3(英語版)、MSH2(英語版)、MSH3(英語版)、MSH6(英語版)、PMS1(英語版)、PMS2(英語版)である。さらに、EXO1(英語版)依存的、EXO1非依存的なDNAミスマッチ修復のサブ経路が存在する。 DNAのミスマッチは、ある塩基が他の塩基と不適切に対合した部位、または一方の鎖への短い付加や欠失のために他方の鎖とマッチしない部位で生じる。ミスマッチは多くの場合、DNA複製時のエラーまたは遺伝的組換えの結果生じたものである。こうしたミスマッチの認識と修復は重要であり、正しく行われない場合はマイクロサテライト不安定性や自発的な変異率(英語版)の上昇(mutator phenotype)が生じる。 MSH2とMSH6のヘテロ二量体がまずミスマッチを認識するが、MSH2とMSH3のヘテロ二量体もこの過程を開始することができる。MSH2-MSH6ヘテロ二量体にMLH1とPMS2からなるヘテロ二量体が結合するが、MLH1とPMS3またはMLH3からなるヘテロ二量体もこれに置き換わることができる。この2組のヘテロ二量体からなるタンパク質複合体がミスマッチの修復の開始を可能にする。 DNAミスマッチ修復タンパク質による開始過程に続いて、DNAポリメラーゼδ(英語版)、PCNA(英語版)、RPA(英語版)、HMGB1(英語版)、RFC(英語版)、DNAリガーゼI、さらにはヒストンやクロマチン修飾因子がミスマッチ修復に関与する。
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DNAミスマッチ修復における役割
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/29 14:08 UTC 版)
「Damメチラーゼ」の記事における「DNAミスマッチ修復における役割」の解説
DNA合成時のDNAポリメラーゼのエラーによってミスマッチ塩基対や小さな挿入・欠失が生じた際には、細胞はミスマッチ修復と呼ばれる経路でDNA修復を行う。この際に、細胞は鋳型鎖と新生鎖を見分けなければならない。一部の細菌ではDNAはDamメチラーゼによってメチル化されているため、複製直後はDNAはヘミメチル化(半メチル化)状態となっている。修復酵素MutSはDNAのミスマッチ部位に結合してMutLをリクルートし、その後MutLはエンドヌクレアーゼ(英語版)MutHを活性化する。MutHはヘミメチル化GATC部位に結合してメチル化されていない娘鎖を選択的に切断し、ヘリカーゼとエキソヌクレアーゼ(英語版)によるミスマッチ周辺領域の除去を可能にする。除去部はDNAポリメラーゼIII(英語版)によって再合成される。
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