DNAの構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 08:45 UTC 版)
DNAは知られている限りで最も大きな分子の1つである。RNAとともに核酸と呼ばれ、その構成要素は次の3つである。 糖 リン酸 塩基 DNAでは糖がデオキシリボースであり、塩基が アデニン (A) チミン (T) グアニン (G) シトシン (C) となっている。 DNAはデオキシリボースとリン酸が交互に長くつながった鎖が2本、螺旋状にねじれた二重らせん構造になっている。糖であるデオキシリボースの部分にはA,T,G,Cの4種類の塩基が1つずつ結合している。そして、この塩基がもう1本の鎖の塩基と結び合うことで、DNAの本鎖は結合している。 この塩基の結合には決まった規則がある。Aは必ずTと、Gは必ずCとペア(塩基対)をつくる。そのほかの組み合わせ、たとえばAとC,GとTといったペアはない。したがって、二重らせんの一方の鎖の塩基の並び方(塩基配列)が決まると、もう1本の鎖の塩基配列も自動的に決まってしまう。このことを「本鎖の塩基配列は互いに相補的である」という。これがワトソン・クリックモデルの最も重要な点でもある。 ヒトの細胞は1個の受精卵から出発して、誕生までに約3兆、成体になると約60兆にも及ぶといわれる。そしてヒトの細胞1個に入っているDNAは60億塩基対くらいとされている。 ヒト細胞は2倍体なので、ゲノム(配偶子または生物体を構成する細胞に含まれる染色体の組・またはその中のDNAの総体)あたりは約30億塩基対である。 DNAの塩基配列のうち、同じ塩基配列が繰り返して存在する特殊な「縦列反復配列」と呼ばれる部分を検査し、その繰り返し回数が人によって異なることを利用して個人識別を行う手法が最も一般的であり、世界的に共通した検査法が確立している。2009年現在、同じ型の別人が現れる確率は4兆7000億人に1人とされている。2019年2月28日、警察庁は、新たな検査試薬を導入することを決め、同じDNA型の出現頻度が「4兆7千億人に1人」から「565京人に1人」となり、より精密な個人識別が可能になると発表した。
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