DNAの露出
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/15 08:06 UTC 版)
Widomの研究室の研究によって、ヌクレオソームのDNAは巻き付いた状態と巻き付いていない状態の平衡にあることが示された。時間分解FRETを用いたその速度の測定によって、ヌクレオソーム内のDNAは約250 msの間完全に巻き付いた状態が維持された後に自発的にほどけ、10–50 ms以内に再び巻き付くことが明らかにされた。このことは、DNAをヌクレオソームから能動的に解離させる必要はなく、完全にアクセス可能な時間がかなりあることを意味している。実際、ヌクレオソーム内のDNAにDNA結合タンパク質の結合配列を導入すると、そのタンパク質がDNAに結合して隣接領域のアクセス性が高まるという観察結果が得られている。このようなヌクレオソーム内のDNAが「呼吸」する傾向は、クロマチン環境で動作するすべてのDNA結合タンパク質にとって重要な機能的影響をもたらす。特に、ヌクレオソームの動的な「呼吸」は、転写伸長時のRNAポリメラーゼIIの前進の制限に重要な役割を果たしている。
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