DNAへのソラレン挿入の修復
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/21 23:30 UTC 版)
「ソラレン」の記事における「DNAへのソラレン挿入の修復」の解説
PUVA療法は、DNA鎖間架橋と一付加物の両方を形成する。ソラレンにより導入されたDNA鎖間架橋は、複製中の細胞に強い遺伝毒性を持つ。共有結合は、複製フォークの進行を妨げるため、複製が再開される前にDNA鎖間架橋の除去が必要である。通常、DNA修復の最初の段階は、架橋の両端の1つの親鎖の切断であり、続いて、正確な方法または不正確な方法によって、損傷部の修復が行われる。 相同組換え修復は架橋修復の正確な方法であり、同じ細胞のもう一方の相同染色体からの情報で損傷した情報が置き換えられる。相同組換えに欠陥のある大腸菌細胞は、野生型と比較してPUVA療法に対して非常に感受性が高い。相同組換え修復は効率的であり、大腸菌においては1つか2つの非修復架橋があれば細胞が不活化するが、53から71個のソラレン架橋があっても修復が可能であった。出芽酵母では、相同組換え修復はソラレン架橋を正確に除去する主要な方法である。野生型の酵母では、相同組換え修復による架橋除去の際の組換えは、主に非乗換え型の遺伝子変換である。SV40ウイルス感染細胞や単純ヘルペスウイルス感染細胞等のウイルスDNA中のソラレン架橋も組換え修復により除去されているようである。 ソラレン架橋修復の不正確な方法では、2つの切断によるギャップを埋めるためにDNAポリメラーゼが用いられているようである。この方法は、相補的な未切断鎖には架橋の一部が残っているため、正確な修復合成のための適切な鋳型として機能できず、不正確なものとなる。不正確な修復合成は、突然変異の原因となる。鋳型DNA鎖中のソラレン一付加物も、突然変異を引き起こす不正確な複製バイパス(損傷乗り越え複製)の原因となる。T4ファージにおいてPUVA療法後に観察される突然変異の増加は、DNAポリメラーゼによる損傷乗り越え複製による不正確性を反映していることが判明した[要出典]。
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