Bリンパ球および抗体産生
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/31 15:33 UTC 版)
「獲得免疫系」の記事における「Bリンパ球および抗体産生」の解説
詳細は「B細胞」および「液性免疫」を参照 B細胞は、液性免疫として知られる、血漿やリンパ液中を循環する抗体の生成に関与する主要な細胞である。抗体(免疫グロブリン、Igとも呼ばれる)は、異物を識別して中和する為に免疫系が使用する大きなY字型のタンパク質である。哺乳類では、生物学的特性の異なるIgA、IgD、IgE、IgG、IgMの5種類の抗体が存在し、各々が異なる種類の抗原を扱う様に進化してきた。活性化されたB細胞は、其々が固有の抗原を認識する抗体を産生し、特定の病原体を中和する。 抗原と抗体の結合は、5つの異なる防御機構を惹起する。 凝集:処理すべき感染ユニットの数を減らす。 補体の活性化:炎症を起こし、細胞を溶かす。 オプソニン化:抗原を抗体でコーティングする事で、貪食作用を高める。 抗体依存性細胞傷害性:標的細胞に付着した抗体が、マクロファージ、好酸球、NK細胞などによって破壊される。 中和:細菌やウイルスの粘膜への付着を阻害する。 T細胞と同様に、B細胞も固有のB細胞受容体(BCR)を発現しており、この場合は膜結合型の抗体分子である。B細胞もT細胞と同様に、固有のB細胞受容体(BCR)を発現している。B細胞とT細胞の決定的な違いは、それぞれの細胞がどのように抗原を「見る」かということである。T細胞は抗原を加工した形で、つまりMHC分子の中でペプチドとして認識するのに対し、B細胞は抗原をそのままの形で認識する。B細胞は、同種の(あるいは特異的な)抗原に遭遇すると(そしてヘルパーT細胞(主にTh2型)から追加のシグナルを受け取ると)、更に形質細胞として知られる効果細胞に分化する。 形質細胞は、抗体を分泌する短命な細胞(2~3日)である。この抗体は、抗原に結合して食細胞の標的となり易くし、補体カスケードを引き起こす。約10%の形質細胞が生き残り、長い寿命を持つ抗原特異的記憶B細胞となる。この細胞は、すでに特異的な抗体を産生するようになっており、同じ病原体が宿主に再感染しても、宿主には殆ど症状が出ない為、迅速に対応する事が出来る。
※この「Bリンパ球および抗体産生」の解説は、「獲得免疫系」の解説の一部です。
「Bリンパ球および抗体産生」を含む「獲得免疫系」の記事については、「獲得免疫系」の概要を参照ください。
- Bリンパ球および抗体産生のページへのリンク