ATC-L型(消滅)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/23 14:45 UTC 版)
「自動列車制御装置」の記事における「ATC-L型(消滅)」の解説
1987年に開業した海峡線(新中小国信号場 - 木古内駅間)に採用されていた。将来の北海道新幹線延伸計画を考慮し、当時の東北新幹線のATC-1D型(ATC-2型)との互換性を意識した方式である。地上装置はATC-1F型と呼ばれていて、ATCの信号波は2周波組合わせ方式を使用し、常時送信ではなく踏込送信方式となっている。開業時は、ほとんどの列車がED79形電気機関車に牽引される自動ブレーキのみの方式であり、ATCブレーキ動作後の自動緩解(弛め動作)が難しく、込め不足の危険があるため、制限速度が変化する進路の1進路手前で予告現示を行い、ブレーキハンドル位置を指定し、進路境界までに運転士の操作で減速させる方式とした。考え方としてはフランス国鉄のTGVで採用されている方式と類似している。もちろん、運転士による減速が行われないまま進路境界を越えると、自動的に常用最大ブレーキが作動する。自動緩解が行われないため、当初はATCのハードを使ったATSとしてATS-L型と称していたが、車内信号閉塞式であることから制度上ATSとしては認められずATCの一種という整理がなされ、正式開業時にはATC-L型となった。ちなみにLはLocomotive(機関車)の意味である。信号現示は0・45R・45・110Y・110で、45R・110Yがそれぞれ0・45の予告となっている。電車列車(485系、781系、789系、785系(クハ784-303))は、機能上通常のATCであり、信号現示は0・55・105・140となっている。 直通先の東北新幹線は2007年までに全線がDS-ATCに切り替えられており、それに合わせる形で北海道新幹線開通の直前の2016年3月22日の設備切り替え工事により、ATC-LからDS-ATCに切替られ、現存形式としては消滅した。在来線車両(EH500形およびED79形・485系・789系・785系)のDS-ATCと25000V対応は実施されなかったので海峡線(青函トンネル区間)が走行できなくなったため、貨物列車の牽引機はEH800形に置き換えられ、EH500形は本州内へ、789系は道内へと運用場所を移した。そして用途が失われたED79形・785系は引退した。
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