4つの限界
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/14 16:12 UTC 版)
「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準のあり方について」(企業会計審議会内部統制部会 平成17年12月8日。)に、内部統制には固有の限界があると示されている。 1.経営者が不当な目的の為に内部統制を無視ないし無効ならしめることがある。 内部統制システムの構築は、経営者の責任において行われるので、経営者自らが内部統制を無視した行動をとれば、内部統制が機能しなくなってしまう。 ex)利益追求を重視するあまり、経営トップ自らが法令違反を指示する。他の役員や従業員が法令に違反していることを知りながら放置する。株価を上げるために粉飾決算をするよう経理担当者に命令をする。etc 2.判断の誤り、不注意、複数の担当者による共謀によって有効に機能しなくなる場合がある。 担当者が不注意などによって事務処理等を間違えたり、判断ミスを犯してしまったりするような場合や、同僚同士や上司と部下など複数の担当者が共謀して計画的に不正を行なってしまう。 ex)社内の者が取引先の担当者など社外の者と共謀して不正を行なう。 3.当初想定していなかった組織内外の環境の変化や非定型的な取引等には、必ずしも対応しない場合がある。 内部統制システムを構築する前には想定していなかったような社内外の環境の変化が生じた、これまでとはまったく異なる取引を開始した、突発的に特別な取引が生じた。こうした事態が生じた場合、ルール作りが間に合わないことなどから、内部統制が必ずしも有効に機能するとは限らない。 4.内部統制の整備及び運用に際しては、費用と便益と比較衡量が求められる。 あらゆる経営問題と同様、どのような内部統制システムを構築するかは、経営判断に委ねられるが、内部統制システムの構築及び運営コスト(費用)とその結果得ることの出来るベネフィット(便益)を量りながら構築されてしまうために、コストダウンを計った結果、不十分な内部統制システムが構築されてしまうことがある。
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