2000年代の衰退
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/12 14:40 UTC 版)
1999年以降の原油価格の高騰や2000年代初頭から高まった地球温暖化対策への配慮や2001年秋のアメリカ同時多発テロ事件後の消費者の買い控えなどから、フルサイズカーへの人気は徐々に衰退傾向を示した。2003年頃から活発になったインセンティブの乱発により販売合戦により利益率も低下し、徐々に経営の足を引っ張るようになる。追い打ちを掛けるように2007年に入ると原油価格が高騰。フルサイズカーを取り巻く環境は、かつてのオイルショック時と同じ状態となった。 2008年現在、アメリカ国内に展開する主要メーカーは、販売不振からフルサイズカーの車種の整理縮小を打ち出しており、再び冬の時代が訪れている。 しかし、米国では燃料代の上下で小型車と大型車の人気が交互に訪れており、「大型車を体験した消費者は小型車で満足することはできない」という説もある。第一次石油危機時には大型セダンがサイズダウンされたが、その後、大型SUVに乗り換えただけで、大型車への嗜好自体は決して衰えていない。CAFE燃費規制がSUVをライトトラックに区分しており、規制がゆるく大型大排気量の車種を販売しやすいことも原因として考えられる。 実際に、2008年8月から同年末にかけて、ガソリン価格が下落した際には、同年5月には56%あった全車種中におけるトラックを除く乗用車の売り上げ割合が、同年12月には47%に低下しており、ガソリン価格の下落によって、再びピックアップトラックやSUVなどの販売比率が上がっていることが分かる。 かつてはシボレー・カプリス、インパラ、フォード・クラウンビクトリアなどのフルサイズ・モデルが全米の乗用車最多販売車種であったが、2000年代にはシボレー・マリブ、トヨタ・カムリ、ホンダ・シビックなどコンパクト(1970年代以前のフルサイズと比較して)な車が最多販売車種となっている。しかし、乗用車に限定せず総合の売り上げで見た場合は、依然としてフルサイズ・ピックアップトラックのフォード・Fシリーズやシボレー・シルバラードが全米で最も売れている車種である。 そして2011年にフォードがフルサイズセダンを代表する車種として長く親しまれてきたフォード・クラウンビクトリア、マーキュリー・グランドマーキー、リンカーン・タウンカーを生産していたカナダ・オンタリオ州のセント・トーマス工場を閉鎖することとなり、これら3車種が相次いで生産終了となり、直系の後継車はなく市場からフルサイズ乗用車が消えた。
※この「2000年代の衰退」の解説は、「フルサイズ」の解説の一部です。
「2000年代の衰退」を含む「フルサイズ」の記事については、「フルサイズ」の概要を参照ください。
- 2000年代の衰退のページへのリンク