2000年代の研究
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 08:25 UTC 版)
2000年12月に公開された研究で、ベテルギウスの角直径が赤外空間干渉計(ISI)を用いた中間赤外線波長での観測で測定され、その結果、ベテルギウスの角直径は80年前のマイケルソンの測定結果と概ね一致する55.2 ± 0.5 ミリ秒と推定された。この研究結果の出版地点では、ヒッパルコス衛星の観測から推定されていたベテルギウスの年周視差7.63 ± 1.64 ミリ秒に基づいて、ベテルギウスの推定半径は5億3856万 km(3.6 au)とされた。しかし2009年に公開された赤外線干渉の研究で、1993年以降、ベテルギウスは著しく減光することなく大きさが15%収縮しており、しかも加速的に収縮していると発表された。その後の観測からは、ベテルギウスの見かけ上の収縮は広範囲に広がっている恒星大気のシェル活動に起因している可能性が示唆されている。 その直径に加えて、ベテルギウスの広がった恒星大気の複雑な変遷についても疑問が生じていた。銀河を構成する物質は、恒星が形成されたり破壊されるにつれて再利用されており、赤色超巨星はその主な貢献者となっているが、質量が失われるプロセスについては分かっていない。しかし、干渉法技術の進歩により、天文学者らはこの難題を解決しつつある。2009年7月にヨーロッパ南天天文台(ESO)が公開した、地上にあるVLTI干渉計が撮影した画像から、30 auに渡って周囲の恒星大気へ放出されている広大なガスのプルームの存在が示された。この放出範囲は太陽から海王星までの距離に匹敵し、ベテルギウスの周囲の恒星大気で発生する複数の事象の1つである。天文学者は、ベテルギウスの周囲に少なくとも6つの殻があることを確認している。恒星の進化の末期における質量放出の謎を解けば、これらの巨星の爆発的な終焉を促進させる要因が明らかになるかもしれない。
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