1950年のロードレース世界選手権とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 1950年のロードレース世界選手権の意味・解説 

1950年のロードレース世界選手権

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/11/09 09:19 UTC 版)

1950年の
FIMロードレース世界選手権
前年: 1949 翌年: 1951

1950年のロードレース世界選手権は、FIMロードレース世界選手権の第2回大会である。6月にマン島TTレースで開幕し、イタリアモンツァで開催される最終戦まで全6戦で争われた。

シーズン概要

前年と同じく全6戦で選手権シリーズが開催されたがポイントシステムは若干変更され、6位までポイントが与えられるようになったが、ファステストラップに対するポイントはなくなった[1]

前年は戦前からの旧態依然としたマシンで臨み、全くいいところがなかったノートンだったが、この年は「フェザーベッド」と呼ばれる革新的な新型フレームのマシンをデビューさせ、開幕戦のマン島では500ccと350ccの両クラスで表彰台を独占する快挙を成し遂げた[2]

500ccクラス

ノートンの新型マシン、ノートン・マンクスと新たなファクトリーライダーであるジェフ・デュークの組み合わせは高いパフォーマンスを発揮した。マン島ではレースレコードとラップレコードの両方でニューレコードを叩き出して優勝し、その後もアルスターイタリアで勝利を飾って最多のシーズン3勝を挙げた[2]

対するイタリアのジレラは主に費用の問題でマン島にはファクトリーチームを送らなかったが、前年に125ccクラスランキング3位のウンベルト・マセッティを500ccのライダーに抜擢して第2戦ベルギーGPから巻き返しを図った[2]。マセッティは優勝回数こそ2勝とデュークに後れを取ったものの2位が2回とコンスタントに速さを発揮し、最終戦イタリアでデュークに次ぐ2位でゴールして1ポイント差でタイトルを決めた[3][4]

前年のチャンピオンであるレスリー・グラハムスイスGPで勝利を挙げたが、この時はレース序盤に転倒しながらの優勝だった。グラハムはこのGPでは350ccクラスでも優勝しており、グランプリ初の350 / 500ccクラスダブル優勝だった[3]

350ccクラス

前年に全勝でタイトルを獲得したフレディー・フリースが引退したためチャンピオン不在となった350ccクラスは、ノートンのアーティ・ベルが開幕戦のマン島で優勝し、続くベルギーでも2位に入る順調な滑り出しを見せた。しかしベルギーで350ccに続いて出場した500ccクラスのレースでクラッシュし、この時の怪我によって選手生命を絶たれてしまった[3]

フリースに代わってベロセットのエースとなったボブ・フォースターはベルギーで優勝すると続くオランダでも連勝、アルスターGPで3勝目を挙げてベロセットのタイトルを防衛すると同時に自身初のタイトルを決めた[5]

250ccクラス

250ccクラスは先進のDOHCエンジンを投入したベネリと、信頼性に優れるSOHCエンジンのモト・グッツィというイタリアメーカー同士の争いとなった。タイトルは3勝を挙げたベネリのダリオ・アンブロジーニのものとなり、モト・グッツィは新型エンジンの開発のためにシーズン終盤にはワークス活動を休止した[2][6]

125ccクラス

125ccクラスの開幕戦となったダッチTTは、10分の1秒差という接戦をモンディアルブルーノ・ルフォが制した。第2戦のアルスターGPは決勝に出場したのが3台、完走は優勝したカルロ・ウビアリとルフォの2台だけというレースだった[3]。第3戦のイタリアジャンニ・レオーニが優勝し、ルフォ、ウビアリ、レオーニの3人が優勝と2位がそれぞれ1度ずつというポイント争いをイタリアで4位に入ったルフォが制してタイトルを獲得した[7]

前年の250ccクラスチャンピオンであるルフォは、グランプリで初めて2クラスのタイトルを獲得したライダーとなった。

グランプリ

Rd. 決勝日 GP サーキット 125ccクラス優勝 250ccクラス優勝 350ccクラス優勝 500ccクラス優勝 レポート
1 6月9日 マン島TT スネーフェル No Race ダリオ・アンブロジーニ アーティ・ベル ジェフ・デューク 詳細
2 7月2日 ベルギーGP スパ No Race No Race ボブ・フォースター ウンベルト・マセッティ 詳細
3 7月8日 ダッチTT アッセン ブルーノ・ルフォ No Race ボブ・フォースター ウンベルト・マセッティ 詳細
4 7月23日 スイスGP ジュネーヴ No Race ダリオ・アンブロジーニ レスリー・グラハム レスリー・グラハム 詳細
5 8月18日 アルスターGP ダンドロッド カルロ・ウビアリ モーリス・カーン ボブ・フォースター ジェフ・デューク 詳細
6 9月10日 イタリアGP モンツァ ジャンニ・レオーニ ダリオ・アンブロジーニ ジェフ・デューク ジェフ・デューク 詳細

最終成績

ポイントシステム
順位 1 2 3 4 5 6
ポイント 8 6 4 3 2 1
  • 350・500ccクラスは上位入賞した4戦分のポイントが有効とされた。
  • 凡例

500ccクラス順位

順位 ライダー マシン IOM
BEL
NED
SUI
ULS
ITA
有効ポイント 合計ポイント 勝利数
1 ウンベルト・マセッティ ジレラ - 1 1 2 6 2 28 29 2
2 ジェフ・デューク ノートン 1 - - 4 1 1 27 3
3 レスリー・グラハム AJS 4 - - 1 2 - 17 1
4 ネッロ・パガーニ ジレラ - 2 2 - - - 12 0
5 カルロ・バンディローラ ジレラ - 4 4 3 - 5 12 0
6 ジョニー・ロケット ノートン 3 - - 6 3 - 9 0
7 アーティ・ベル ノートン 2 - - - - - 6 0
8 アルシソ・アルテジアーニ MVアグスタ - 5 - - - 3 6 0
9 ハリー・ヒントン ノートン - 6 3 - - - 5 0
10 エドワード・フレンド AJS - 3 - - - - 4 0
11 ディッキー・デイル ノートン - - - - 4 6 4 0
12 ハロルド・ダニエル ノートン 5 - - 5 - - 4 0
13 アルフレッド・ミラーニ ジレラ - - - - - 4 3 0
14 エリック・マクファーソン ノートン - - 5 - - - 2 0
14 ジョク・ウェスト AJS - - - - 5 - 2 0
16 レグ・アームストロング AJS 6 - - - - - 1 0
16 シド・ジェンセン トライアンフ - - 6 - - - 1 0

350ccクラス順位

順位 ライダー マシン IOM
BEL
NED
SUI
ULS
ITA
有効ポイント 合計ポイント 勝利数
1 ボブ・フォースター ベロセット - 1 1 2 1 - 30 3
2 ジェフ・デューク ノートン 2 3 2 3 - 1 24 28 1
3 レスリー・グラハム AJS 4 - - 1 - 2 17 1
4 アーティ・ベル ノートン 1 2 - - - - 14 1
5 キース・アームストロング ベロセット - - 5 4 2 - 11 0
6 エリック・ヒントン ノートン - - 6 - 3 3 9 0
7 ビル・ロマス ベロセット - 4 3 - - 5 9 0
8 ハロルド・ダニエル ノートン 3 6 - - 6 - 6 0
9 ジョニー・ロケット ノートン 6 - 4 - - - 4 0
9 ディッキー・デイル AJS - - - 6 - 4 4 0
11 エドワード・フレンド AJS 5 - - 5 - - 4 0
12 エリック・マクファーソン AJS - - - - 4 - 3 0
13 セシル・サンドフォード AJS - - - - 5 6 3 0
14 チャーリー・ソルト ベロセット - 5 - - - - 2 0

250ccクラス順位

順位 ライダー マシン IOM
SUI
ULS
ITA
ポイント 勝利数
1 ダリオ・アンブロジーニ ベネリ 1 1 2 1 30 3
2 モーリス・カーン モト・グッツィ 2 - 1 - 14 1
3 ファーガス・アンダーソン モト・グッツィ - - - 2 6 0
3 ブルーノ・ルフォ モト・グッツィ - 2 - - 6 0
5 ディッキー・デイル ベネリ - 3 - - 4 0
5 ブルーノ・フランシスキ ベネリ - - - 3 4 0
5 ウィルフ・ビリントン モト・グッツィ - - 3 - 4 0
5 ロナルド・ミード ベロセット 3 - - - 4 0
9 クラウディオ・マステラリ モト・グッツィ - - - 4 3 0
9 アーサー・バートン エクセルシオール - - 4 - 3 0
9 ブノワ・ミュジー モト・グッツィ - 4 - - 3 0
9 ローランド・パイク ラッジ 4 - - - 3 0
13 デビッド・アンドリュース エクセルシオール - - 5 - 2 0
13 レン・ベイリス LB[要曖昧さ回避] 5 - - - 2 0
13 クラウディオ・ベロッティ モト・グッツィ - 5 - - 2 0
13 アラーノ・モンタナリ モト・グッツィ - - - 5 2 0
17 アーノルド・ジョーンズ モト・グッツィ 6 - - - 1 0
17 ウンベルト・プレバーニ モト・グッツィ - - - 6 1 0
17 キース・キャンベル エクセルシオール - - 6 - 1 0
17 オノラート・フランコーネ モト・グッツィ - 6 - - 1 0

125ccクラス順位

順位 ライダー マシン NED
ULS
ITA
ポイント 勝利数
1 ブルーノ・ルフォ モンディアル 1 2 4 17 1
2 ジャンニ・レオーニ モンディアル 2 - 1 14 1
2 カルロ・ウビアリ モンディアル - 1 2 14 1
4 ジュゼッペ・マトゥッチ モト・モリーニ 3 - - 4 0
4 ルイジ・ジンザーニ モト・モリーニ - - 3 4 0
6 ウンベルト・ブラガ モンディアル 4 - - 3 0
7 ラファエル・アルベルティ モンディアル - - 5 2 0
7 フェリーチェ・ベナセド MVアグスタ 5 - - 2 0
9 ギジ・ラガベイ スパルタ 6 - - 1 0
9 エミリオ・ソプラーニ モト・モリーニ - - 6 1 0

脚注

  1. ^ 『二輪グランプリ60年史』(p.16)
  2. ^ a b c d 『二輪グランプリ60年史』(p.14)
  3. ^ a b c d 『二輪グランプリ60年史』(p.15)
  4. ^ 1950 500cc World Standing - The Official MotoGP Website
  5. ^ 1950 350cc World Standing - The Official MotoGP Website
  6. ^ 1950 250cc World Standing - The Official MotoGP Website
  7. ^ 1950 125cc World Standing - The Official MotoGP Website

参考文献

  • ジュリアン・ライダー / マーティン・レインズ『二輪グランプリ60年史』(2010年、スタジオ・タック・クリエイティブ)ISBN 978-4-88393-395-2

外部リンク





英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「1950年のロードレース世界選手権」の関連用語

1950年のロードレース世界選手権のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



1950年のロードレース世界選手権のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの1950年のロードレース世界選手権 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS