1933年の金貨製造停止
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「アメリカの金貨」の記事における「1933年の金貨製造停止」の解説
1933年に勃発した金融恐慌を期に、1933年4月5日、フランクリン・ルーズベルト大統領は大統領令6102号を発令してアメリカ市民に対し保有する金を平価(1トロイオンス20.67ドル)で強制的に搬出させ、アメリカ市民の金貨及び金地金の保有を禁止し、金本位制・金貨の製造も停止された。市民の金保有禁止は解禁される1964年まで続いた。これは当時金本位制の下紙幣が金保有高に制限されてしまうためインフレ政策が取れなかったための措置であった。翌年からテネシー川流域の公共事業を中心とした経済政策としてのニューディール政策が行われた。ただし、収集用金貨あるいは希少金貨は対象外とされ守られた。このため最終年号である1933年銘の金貨は流通することなく、445,500枚製造されたダブルイーグルは公式にはスミソニアン博物館などに残された2枚のみを除き全て鋳潰されたことになっていたが、1933年銘の20ドル金貨が2002年7月30日のオークションに出品されて7,590,020ドルで落札され、アメリカ政府はこれは盗難品であるとし金貨の所有権をめぐって提訴する事件に至った。1933年銘のイーグルも製造された312,500のうち殆んどが鋳潰された。 翌、1934年には政府による金買い上げ価格が1トロイオンス当たり35ドルと約41%も平価引き下げとなり、貿易の決済においてこの価格で外国通貨当局に対して金を引き渡す措置を取るようになった。一方、アメリカの一般市民はこのレートであってもドルと金の交換はできなかった。この結果、金平価と金貨の金含有量が大幅に乖離することとなり、金貨の額面および本位金貨としての意義は失われた。もはや金貨が額面で流通することはないが、貨幣として廃止になったわけではなく、現在でもこれらの金貨はアメリカの法定通貨である。第二次世界大戦終盤頃、1944年7月1日には金1オンス=35ドルとする金・ドルを基軸通貨とする国際通貨基金(IMF体制)すなわちブレトン・ウッズ協定が発足し、この協定に加盟する各国の通貨もドルにペッグされた固定相場制がとられた。
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