1型免疫
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/07 02:27 UTC 版)
1型免疫は、次のような細胞型の1型サブセットを使用する。TH1、TC1、およびグループ1 ILCは、インターフェロンガンマや腫瘍壊死因子(TNF)を分泌することによりマクロファージを活性化し、強力なエフェクター細胞へと変化させる。これは、細胞内細菌、原生動物、ウイルスに対する防御を行う。また、炎症と自己免疫にも関与しており、関節リウマチ、多発性硬化症、炎症性腸疾患などの疾患はすべて1型免疫が関与していると考えられている。1型免疫は次の細胞で構成されている。 CD4+ TH1細胞 CD8+ 細胞傷害性T細胞(TC1) T-Bet+インターフェロンガンマ産生 グループ1 ILC(ILC1およびナチュラルキラー細胞) CD4+ TH1細胞 これらの細胞の特徴的なサイトカインは、インターフェロンガンマとリンホトキシンアルファ(英語版)であることが、マウスとヒトの両方で明らかになっている。TH1細胞への分化を促す主なサイトカインは、パターン認識受容体の活性化に応反して樹状細胞が産生するIL-12である。T-bet(英語版)は、TH1細胞の特徴的な転写因子である。また、TH1細胞はケモカイン受容体(英語版)を発現して、炎症部位へ移動できることも特徴である。これらの細胞の主なケモカイン受容体はCXCR3A(英語版)とCCR5である。上皮細胞とケラチノサイトは、インターフェロンガンマに応反してケモカインCXCL9(英語版)、CXCL10(英語版)、CXCL11(英語版)を放出することで、TH1細胞を感染部位に動員することができる。さらに、これらの細胞によって分泌されるインターフェロンガンマは、上皮性関門の密着結合をダウンレギュレートするのに重要な役割を果たしていると考えられる。 CD8+ TC1細胞 これらの細胞は一般的にインターフェロンガンマを産生する。インターフェロンガンマとIL-12は、TC1細胞への分化を促進する。T-bet(英語版)の活性化は、インターフェロンガンマと細胞溶解能の両方に必要である。CCR5とCXCR3は、この細胞の主なケモカイン受容体である。 グループ1 ILC グループ1 ILCは、転写因子T-bet(英語版)を発現している自然リンパ球(ILC)を含むと定義されており、当初はナチュラルキラー細胞のみを含むと考えられていた。その後、特定のマスター転写因子を発現するNKp46+細胞が多数発見され、ILC1と呼ばれるナチュラルキラー細胞の別系統として命名されるようになった。ILC1は、サイトカインの刺激に応答してインターフェロンガンマ、TNF、GM-CSF、およびIL-2を産生する能力を持っており、細胞障害能は低いか、まったくない特徴がある。
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