Th1細胞への分化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 09:44 UTC 版)
CD4+CD8-T細胞からIFN-γ産生能を有するTh1細胞への分化誘導は主にIL-12とIFN-γの刺激により行われる。 Th1分化の過程には樹状細胞をはじめとした抗原提示細胞が重要な役割を担っている。樹状細胞がToll様受容体からの刺激により成熟すると、細胞表面にCD80などの分子を発現してMHCクラスII分子を介したナイーブT細胞への抗原提示における共刺激分子として働き、T細胞を活性化させる。一方、樹状細胞への刺激はIL-12の産生を誘導することが知られており、活性化T細胞表面に存在するIL-12受容体を介して作用する。IL-12は転写因子STAT4を介してIFN-γの産生を誘導する。 また、IFN-γ自身によるIFN産生細胞(Th1)への分化誘導機構も知られており、IL-12の作用に対して協調的に働く。IFN-γの下流には転写因子STAT1が存在し、T-betの転写を活性化する。T-betタンパク質もまたT-boxファミリーに属する転写因子として機能し、IFN-γ遺伝子に作用して凝集したクロマチン構造を部分的に緩めて他の転写に関与する因子がDNAに結合しやすい状態することによりIFN-γの産生をさらに亢進させる。 その他にも、IL-18が転写因子NF-κBを介してIFN-γの産生を亢進させる経路などが存在することが報告されている。一方、Th2サイトカインであるIL-4の遺伝子はTh1分化に伴い不可逆的に抑制されTh1分化を完成させるが、その過程はよく分かっていない。
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