高出力密度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 01:50 UTC 版)
固体化する際の最大の課題は、出力性能の低下である。通常の場合、イオンの移動度は固体中より液体中のほうが高く、現在使用される電池のほとんどが液体の電解質である所以である。多くの場合、電解質を液体から固体に変えると、電池の出力性能は大きく低下するが、その一方で、全固体系の出入力性能は液体系よりも高くなる潜在能力を秘めているのも事実である。有機溶媒電解質中では電池の作動中に濃度分極が生じやすく、大電流での駆動時にはリチウムイオンの濃度低下による電池反応速度の低下を引き起こす。固体電解質では、濃度変化を起こる可能性があるのリチウムイオンのみであり、負電荷は骨格格子に固定されており、電気的中性を満たすためにリチウムイオンの濃度変化も起こりにくくなる。また、有機溶媒電解質中においてリチウムイオンには溶媒分子が配位しており、かさ高い状態である。そのため、層状構造を有する電極活物質の層間にリチウムイオンが挿入・脱離するには、脱溶媒過程を経る必要がある。有機溶媒電解質系では、この脱溶媒和のエネルギーが高いため、電極反応速度を決める支配因子となるが、固体電解質では脱溶媒和過程がなく、電荷移動過程における反応障壁は全固体系のほうが低くなる可能性がある。
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