高信頼管
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/11 03:24 UTC 版)
高信頼管は上記の合格品からさらに特性別で選別したものや、ラインやロットの管理、精度の高い部品使用を行っている。官公庁や研究所の機器、無線機器、軍事、医療向けの真空管となっている。軍用の高信頼管は一般に数字表記となっている(例 : 6BA6は5749、6AQ5は6005)。これらの真空管は一般では高価かつ入手が難しいものだったが、1990年代以降は軍の放出や倉庫在庫の流通によって比較的安価である。 また高信頼管に似たものに堅牢管が存在する。振動や衝撃に耐えうるように設計、製造された真空管で、真空管名の末尾にWがつく(例 : 6BA6W)。尚、高信頼と堅牢の双方を備えた真空管も存在する(例 : 5749W)。こちらは軍用である場合が多い。 軍用の高信頼管は一般的に無地の箱に真空管名、メーカー名、製造国、梱包日、オーダー元が明記してあり、それらとともに乱数状の数字コードが書かれている。米軍向け真空管はJAN規格に基づくためJAN 5749Wのように表示される。英国軍用は同様にCV規格が存在する。またCVという表示はオーダー元表示に米軍でも用いることがある。オーダー元は基地や部隊コードの他、空軍ではP-51 等使用する機体名と機体番号が書かれる。梱包日はOCT1951や89/02などと表示される。軍用管は多数の真空管メーカーの入札制によって発注するため、箱の中の真空管メーカーが一致しないことがある。 ごく稀にNOS品として白丸に航空検や桜のマークに航空検と印字された真空管が流通しているが、前者は航空機向けに航空会社や旧運輸省が試験した真空管、後者は航空自衛隊が選別したことを示すものでメーカーが選別した真空管(高信頼管)をさらに選別し、特性を規定値以上に揃えたものである。同様に日本放送協会を示すNHKと印字した真空管が存在しているが、こちらも放送機材向けに選別した真空管である。NOS品や中古球として流通しているがこれら放出品はすべて一定の条件によって使用・交換されたものである。価格は捨て値同然のものからオーディオ用ペア管に相当する高額なものまで存在している。 一般向けの高信頼管はアマチュア無線用に通信用、測定機向けに測定用、双方に利用できる通測用、オーディオ向けのHi-Fi(ハイファイ)、Hi-S が存在する他、ただ単に高信頼と書かれる場合もある。東芝、松下、TEN等各社から販売され価格は一般用と大差はなかった。2013年現在の販売価格もオーディオ向けを除き汎用(通常の真空管)と大差ない。 真空管名末尾の記号表示には堅牢管のWの他、傍熱管でヒーターが13秒で完全点灯することを示したAが存在する。こちらは21世紀現在、オーディオ向け真空管によく見られる(例 : 12AU7A)。 以上の真空管はそれぞれの用途向けに製造、選別した真空管ではあるが、他の用途にも使用しても全く問題ない。
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