食餌と採食
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/22 03:40 UTC 版)
オウムは、さまざまな範囲の植物性食物を主として摂取する、融通の利く食べ手である。すべての種においてその食餌の大部分は種子によって構成され、その大きく強力な嘴によって割って食べられる。モモイロインコ、ジオウムやクロオウムの一部は、主に地上で採食するが、これ以外の種はほとんど樹上で採食する。地上で採食する種は群れで餌をあさる傾向があり、種子が集中している場所では密集した小競り合いをするグループを形成し、種子がもっとまばらに分布している時には分散したラインを形成する。また、採食するには視界が良好な開けた場所を好む。ヒメテンジクバタン(英語版)とテンジクバタンは塊根や根を掘り返すための長く伸びた嘴を持ち、またクルマサカオウムは、doublegree (Emex australis、タデ科の一年草)をねじって引き抜くために、この周囲を円を描くように歩き、地下の部分を取り除く。 ほとんどの種は樹冠の中で餌を探す。これはオーストラリアの乾燥地帯の自然の特徴である Serotiny(ユーカリ属やバンクシア属、ハケア(英語版)属といったグループの植物によるガムナッツや球果の種の大量供給による備蓄)を利用するためである。これらの樹木性果実の果肉は、ほとんどの生物種にとって近付き難く、このために主にインコとオウム、そしてもっと熱帯気候の地域では齧歯類によって収穫される。より大型の球果は小動物には頑丈すぎるが、オウムの大きな嘴なら開けることができる。ナッツや果実の多くは餌を探しているオウムの重量を支えられないような小枝の端に実る。そこで、オウムは枝をたわめて実を引き寄せてからこれを足で保持する。 オウムは種によって幅広い範囲の食物を食べる万能選手であったり、また特定の食物に特化したスペシャリストであったりする。テリクロオウムはAllocasuarina 属(モクマオウ科に属するグループのひとつ)の球果に特化しており、特にこの中の1種類(A. verticillata)を好む。この鳥は足で球果を保持して、強力な嘴で細かく引き裂いてから、舌で種子を取り出す。たくさんの昆虫を、ことに繁殖期に捕食する種もある。事実キイロオクロオウム(英語版)の食餌は大部分が昆虫から構成されている。この大きな嘴は腐りかけた樹木から地虫や幼虫を引き出すために使われる。オウムが採食のために費やさねばならない時間は季節によって変動する。食料が潤沢な時期は採食のために毎日、朝と夕方の数時間を費やすだけでよく、一日の残りは木の中でくつろいだり羽繕いをして過ごす。しかし冬季にはほとんど一日を採食に費やさねばならない。繁殖の季節になると鳥の栄養的な要求が増大する。このため、この時期には食料を探し求めるための時間が長くなる。オウムは大きな素嚢をもっており、これにより木の中にこもった後数時間のあいだ食料を貯蔵して消化することができる。困難な時期になるとオウムはまたその食料に関する万能性を発揮する。食料を見つけるため広い範囲を移動し、より未熟な植物の果実や種子を採食し、なかには根茎を掘り起こすためにその嘴を使う種もある。
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