飛行の仕組
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/04 03:40 UTC 版)
本機が離陸する際には、始動車(実際の運用現場では数の少ない始動車は配備されなかった)もしくはゴム掛け始動(一人がプロペラを手で押さえ、他がプロペラの先端のひとつに2本のゴム索の付いた布袋をひっかけて引っ張ったら、手を放す)により、エンジンを始動し、クラッチを引きエンジンをローターに接続し、ローターをあらかじめ回転させ、回転数が毎分180回転に達したらローターのクラッチを切り、機首のプロペラで前進、ローターが自然回転により毎分220 - 240回転に達し、発生する揚力で自然に離陸した。 本機は動力でローターを駆動する機構を備えていたが、ローターのピッチ変更機能を持たなかったため、現代のオートジャイロのように、実質的に垂直離陸であるところの、無滑走で離陸する跳躍離陸(ジャンプ・テイクオフ)の機能は備えていない。しかし、向かい風なら数 mの滑走で離陸でき、無風状態でも30 - 50 mほどで充分だったため、実用上は必要無かったと思われる。 空中でスロットルを全開にすれば、15度の仰角姿勢でほとんど空中で静止状態でいることができ(ホバリング)、その姿勢で空中で360度方向転換(緩旋回)することも可能だった。操縦はローターの回転面を傾ける事で、揚力の分力により行われた。着陸はほとんど滑走せずに行う事が可能だった。また、もしエンジンが停止したとしてもオートローテーションで安全に着陸できた。 なお、原型機であるケレット KD-1の型式名の「D」は、「DIRECT CONTROL」を意味し、主翼に依ることなく(ウイングレス)、ローターが回転している限り、対気速度がゼロでも機体の効果的な制御が可能であることを意味していた。
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