顔の特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/12 01:05 UTC 版)
山中は長い顎の持ち主として知られた。八尋不二は、山中の顔と顎の印象について「本当に長い顔だった。長過ぎる。特に顎が『それは余計だ』と言いたいくらい長かった」と述べている。岸松雄は「山中の顎は一度見たら忘れることの出来ぬ味を持っている」と述べているが、山中は自分の顎のことを言われるのが好きではなく、山中の前でからかい気味に顎のことを口に出すのは禁物だった。一方、助監督時代の友人の吉田信三によると、山中は自分の顎が長いことを話題にされると、よく奇声を張り上げ、左手で顎をおさえ、右手を大きく開きながら、『白野弁十郎』(『シラノ・ド・ベルジュラック』の翻案)の主人公が自分の鼻を自慢する時に言った「俺の兜の龍頭」というセリフを言っていたという。また、岸によると、山中は照れるとすぐ顎を撫でるのが癖だったという。 山中はその顔の長さで、同じ風貌の小説家の武田麟太郎と間違われることがあった。稲垣浩によると、あるバーで山中が「先生、先生」と大モテし、天下の色男ぶって悦に入っていたところ、武田と間違われていたことが分かって悔しがったという。山中が銀座を徘徊するようになった時も武田と間違われたが、この頃に銀座の酒場に出入りしていた武田も円タクの運転手から「今度は何の撮影ですか」と聞かれたという。また、山中が愛知県蒲郡の旅館に泊まった時には、宿帳に「山中貞雄」と書かれてあるのを見て驚き、女中に聞いたところ、顎の長いところや原稿を書いていたなどの点で、いたずらの主が武田だと分かり、憤然として宿帳に「武田麟太郎」と署名したという。山中は銀座の酒場で武田と知り合い、その後武田の小説を山中が映画化する話もあったが、実現はしなかった。 昭和初期の日本映画の監督には、当時流行したコールマン髭(口の上にだけ短く生やした髭)を生やした人が多かったが、山中も小津安二郎との交友が始まった頃から口髭を生やすようになった。稲垣によると、山中と同じく顔が長かった伊丹万作が井上金太郎から「髭を生やすと顔が長く見えなくなる」と教えられて口髭を生やすようになったが、この説は小津の受け売りだったといい、山中もこの説の影響を受けて口髭を生やすようになったのではないかと考えている。
※この「顔の特徴」の解説は、「山中貞雄」の解説の一部です。
「顔の特徴」を含む「山中貞雄」の記事については、「山中貞雄」の概要を参照ください。
「顔の特徴」の例文・使い方・用例・文例
- 顔の特徴のページへのリンク