電源・電子機器
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/06 07:42 UTC 版)
「マーズ・エクスプロレーション・ローバー」の記事における「電源・電子機器」の解説
ローバーには、最大140 W の発電能力を有する太陽電池モジュールと、2個のリチウムイオン二次電池(1個あたり7.15 kg)が搭載されている。ローバーの走行には100 W 程度の電力が必要である。太陽電池が最大出力を得られるのは1火星日あたり4時間程度で、1日あたりの発電量は約300 - 900ワット時。ただし、火星特有の砂嵐が発生すると日光が遮られ、発電量が1日あたり100ワット時を下回ることもある。 火星大気には砂塵が多量に含まれており、それが太陽電池パネルに降り積もるため、探査開始から90火星日後には発電量が1日あたり50ワット時程度に落ち込むと見積もられていた(探査機の運用期間が90火星日に設定されていたのはこのためである)。ところが、積もった砂塵が強風や塵旋風により吹き払われることが度々発生し、幸運なことに発電量はあまり低下せず、結果としてミッションは10年以上の長期にわたって延長されている。 ローバーの制御用コンピューターの諸元は次の通り。 CPU:RAD6000(クロック周波数 20 MHz) 主記憶装置:128 MB DRAM(誤り検出訂正機能付き) 補助記憶装置:256 MB フラッシュメモリ、3 MB EEPROM OS:VxWorks 組み込み用OS 火星は非常に寒冷な環境であり、電力を消費することなく機器を保温するため、ローバーにはプルトニウム238の崩壊熱を利用した原子力発熱装置(RHU)が8個搭載され、さらに胴体部をシリカエアロゲルの断熱材と、金をスパッタリングした遮熱シートで覆っている(電気ヒーターも補助的に用いられる)。この対策により、ローバーの主要な電子機器の温度はマイナス40℃から40℃の間で保たれる。
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