電池構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/16 01:35 UTC 版)
溶融塩電池は、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の負極、塩化リチウム・塩化カリウム共融混合物などの電解質および金属塩の正極からなる電池本体と、電解質を溶融状態に保つための熱源・点火装置および保温材等からなる。 負極活物質として、カルシウムが1970年代にかけて多く用いられていた。正極活物質は1950年代初期には三酸化タングステン(WO3)が用いられていたが、1950年代中期ごろからクロム酸カルシウム(CaCrO4)に置き換えられていき、1960年代から1970年代にはカルシウム・クロム酸カルシウム系の溶融塩電池が主流になった。その後、負極活物質にリチウム(アルミニウムと合金化されている)、正極活物質に二硫化鉄(FeS2)や二硫化コバルト(CoS2)等が用いられるようになり、今日ではリチウム・硫黄系の電池が主流となっている。 電解質を溶融状態にするための熱源には、開発初期にはロケットエンジンの排熱を利用していたが、現在では熱紙および熱ペレットと呼ばれる火工品を電池に挟み込んで加熱する方法が用いられている。熱紙は、ジルコニウムとバリウム・クロム酸塩(BaCrO4)の混合物をガラス繊維等で紙状に加工したもので、静電気や摩擦によって容易に発火する。熱ペレットは、鉄の微粉末と過塩素酸カリウム(KClO4)の混合物をプレスしてペレット状に成形したもので、着火には比較的大きなエネルギーを要する。溶融塩電池の熱源としては、熱ペレットが主であり、熱紙は熱ペレットへの着火剤として用いられている。熱紙が燃焼してできる灰は非導電性であるが、熱ペレットに含まれる鉄を化学量論比より過剰にしておくことで未反応の鉄が残って、燃焼後も電池間の電気伝導が確保されるようになっている。
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