電気通信条項(1988年包括通商競争力法第1371条~第1382条)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/08 07:42 UTC 版)
「1974年通商法」の記事における「電気通信条項(1988年包括通商競争力法第1371条~第1382条)」の解説
スペシャル301条は、知的財産権分野のものであるが、これの電気通信分野版というべきものが、電気通信条項(1988年包括通商競争力法第1371条~第1382条)である。 電気通信条項による優先国(米国の電気通信機器・サービスにとって有望な市場でありながら、相互に有益な市場機会を否定する政策、慣行を有する国)の指定は、1988年法成立後5ヵ月以内(89年2月)までに行われることになっており、ECと韓国が指定された。これについては制裁発動にいたらずに決着した。 この指定がされると大統領は、特定された優先国との間で、二国間又は多国間の通商協定を締結するための交渉を開始し、交渉開始から1年以内(調査により特定された場合は法制定から18ヶ月以内、調査後特定された場合は特定から1年以内)に協定締結に至らない場合、大統領は、①通商法301条に基づく対抗措置、②連邦政府による当該国からの電気通信機器調達の禁止等その権限の範囲内で、適当と考えられる措置をとらなければならないと、規定されていた。 また、恒常的規定として、通商法181条に基づくNTEレポートにおいて、USTRは、効力を有する電気通信機器・サービスに関する通商協定についてレビューを行うことが義務づけられ、レビューの結果、当該国の法令、政策、慣行が通商協定に違反していると決定された場合には、USTRは通商法301条に基づく制裁措置の発動手続き(制裁予定品目の決定)を行うことになっており、94年に日本の移動電話が、協定違反と認定され制裁予定品目の決定が行われたが、最終的に発動直前に合意が成立し制裁は回避された。この電気通信条項による手続きでは、スーパー301条の手続きと比べて、対抗措置発動の適否の調査とこの間の協議がなく、いきなり制裁予定品目の決定が行われ、これを背景に発動までの短時間(通常は30日以内、延長しても180日以内)に交渉が行われることから、極めて厳しいものになっている。
※この「電気通信条項(1988年包括通商競争力法第1371条~第1382条)」の解説は、「1974年通商法」の解説の一部です。
「電気通信条項(1988年包括通商競争力法第1371条~第1382条)」を含む「1974年通商法」の記事については、「1974年通商法」の概要を参照ください。
- 電気通信条項のページへのリンク