電子制御機械式変速機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/14 01:26 UTC 版)
「気動車・ディーゼル機関車の動力伝達方式」の記事における「電子制御機械式変速機」の解説
日本国外では近年、小型軽量で、後述する流体式トルクコンバータに比べ伝達効率も高い、という長所を伸ばす方向で、エンジンの回転数とトルクに応じたスムーズな変速と統括制御が可能な、電子制御機械式変速機の開発が行われている。例としてデンマーク国鉄 (DSB) のIC3型気動車が1990年から運行している。 ただし、この種の新しい変速機は、かつての完全非自動な機械式変速機とは別物と見なければならない。21世紀初頭の現代では、流体式トルクコンバータと歯車機構を用いた鉄道用変速機も、やはり電子制御式多段変速構造に進歩している。それらはロックアップクラッチを備え、トルクコンバータに依存する領域を狭める努力がなされており、運転時における電子制御機械式変速機との差異は起動時にトルクコンバータを利用するか半クラッチ制御を利用するか程度のものでしかない。また、摩擦クラッチの電子制御のみに頼って発進・変速することは、トルクコンバータを併用する場合に比べると、大出力への対処能力やトルク確保、変速ショック対策などの面で依然として不利であり、効率面での絶対的優位性をスポイルする課題点である。さらに、起動用や低速用ギヤの使用頻度が低い優等列車用車両では、起動時の効率の悪さを妥協しても低速域をトルクコンバーターに任せることでギヤを減らす、高速側に振り向けるといった設計が全体としては合理的になる場合も考えられるため、全面的な機械変速式が流体式に比べ無条件に優位であると断言することは拙速である。 ハイブリッド気動車への応用例も出現している。2007年10月、北海道旅客鉄道(JR北海道)はモータアシスト方式ハイブリッド気動車の試作車を発表した(キハ160形気動車の改造車)。この車両には、「アクティブシフト変速機」と称する電子制御デュアルクラッチトランスミッションが使用されている。2014年9月には、実用試作車となるキハ285系も落成したが、折からの不祥事続発により、同年に開発は中止された(後述)。
※この「電子制御機械式変速機」の解説は、「気動車・ディーゼル機関車の動力伝達方式」の解説の一部です。
「電子制御機械式変速機」を含む「気動車・ディーゼル機関車の動力伝達方式」の記事については、「気動車・ディーゼル機関車の動力伝達方式」の概要を参照ください。
- 電子制御機械式変速機のページへのリンク