阿川大樹
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/20 12:36 UTC 版)
阿川 大樹 | |
---|---|
誕生 | 1954年![]() |
職業 | 小説家、推理作家、コラムニスト、随筆家 |
国籍 | ![]() |
活動期間 | 1999年 - |
ジャンル | 推理小説、随筆 |
主な受賞歴 | 第16回サントリーミステリー大賞優秀作品賞 第2回ダイヤモンド経済小説大賞優秀賞 第9回エキナカ書店大賞 |
デビュー作 | 天使の漂流 |
公式サイト | 阿川大樹公式サイト |
![]() |
1954年12月1日[1] -)は、日本の小説家、推理作家、コラムニスト、随筆家、ジャーナリスト、作曲家。日本推理作家協会会員。神奈川県横浜市在住。
(あがわ たいじゅ、経歴
東京都で商社マンの家に生まれ、子供の頃は親の転勤により引っ越しが多かったと語っている。中学生の頃から小説家を夢見ていた。[2]
東京都立戸山高等学校卒業
高校時代には、生徒会にて制服の廃止を主導したと語っている。[3]
東京大学教養学部基礎科学科卒業 [4]
東京大学在学中の1976年に、共に東京大学演劇研究会に所属していた野田秀樹らと劇団「夢の遊眠社」を旗揚げし、同劇団の座付き作曲家となる。[5][6]
大学卒業後、日本電気にコンピュータ技術者および半導体技術者[7]として勤務。1987年、株式会社アスキーの半導体集積回路部門の責任者となり、テクニカルジャーナリストおよび起業家の道に進む。1990年、半導体関連のベンチャー企業を他6人の創業者と共にアメリカ合衆国カリフォルニア州のいわゆるシリコンバレーに設立[8][9][10]したが、同社は1997年に解散した。阿川は1996年に会社をやめ[2]、著作活動を再開[11]、専業小説家志望者となる。
1999年、『天使の漂流』で第16回サントリーミステリー大賞優秀作品賞を受賞[12]。
2002年、第3回小学館文庫小説賞に『海の始まる場所』で応募するが、惜しくも「佳作」が不在での次点「優秀作品」となり出版されず。2003年に再び、第4回同賞に『ウィリアム・マッカラムを知らない?』で応募するが、やはり次点の「優秀作品」にとどまり出版を逃す。[13]
2005年、『覇権の標的(ターゲット)』(応募時の表題は『スピリット・オブ・サイエンス』)で第2回ダイヤモンド経済小説大賞優秀賞を受賞[14]し、同作にて小説家デビュー。
2007年、『D列車でいこう』が『本の雑誌』2007年上半期ベスト10に選出される[15]。
2009年から2021年までの間、横浜市中区黄金町の京急本線高架下にある元特殊飲食店を執筆場所とし[2][16]、黄金町エリアマネジメントセンターのアーティスト・イン・レジデンス(AIR)の一員であった[17]。2014年6月に、同町の変貌を描いた長編小説『横浜黄金町パフィー通り』を上梓。同作の発売に合わせて合唱曲『地図をつくろう(黄金町の歌)』を作詞・作曲。同地域の混成合唱団『コールなでしこ』により、7月13日の出版記念パーティや7月14日の第7回国際シニア合唱祭 『ゴールデンウェーブin横浜』[18]等にて披露された。[19][20][21] また2015年には同長編小説が、同じく黄金町に拠点を置く田口浩一郎主催の「劇団!王子の実験室」により舞台化された[22]。
2017年2月に『終電の神様』シリーズの第一弾を発売。同作で2017年7月にエキナカ書店大賞受賞[23]。2027年6月のシリーズ5冊目の発売までに、シリーズ累計55万部を売り上げるベストセラーとなる[24]。
人物
趣味はヨットとギター[25]。
ヨットの購入費用を捻出するために、サラリーマンを辞めて起業家に転身したと語っている[26]。しかし作家としての道は厳しく、売れていない時代の収入はサラリーマン時代の10分の1程度だったが、「やりたいことができているので幸せ」と語っている。[2]
2019年3月より、ヨットとモーターボートの専門誌である月刊「Kazi」に『物書きセーラーの独り言』というエッセイを書いている[27]。
ギターは、エレキギターを中心に、2016年現在までに生涯で15本購入したと語っている[28]。
専業小説作家志望者時代の2002年、FIFAワールドカップのボランティアを務めた。
作品リスト
小説
- 『天使の漂流』(未単行本化)(文芸春秋) 1999年3月 「オール読物」(54巻3号)
- 『海のはじまる場所』(未発行)2003年2月 第3回 小学館文庫小説賞 優秀作品
- 『ウィリアム・マッカラムを知らない?』(未発行)2003年8月 第4回 小学館文庫小説賞 優秀作品
- 『覇権の標的(ターゲット)』(ダイヤモンド社) 2005年12月 ISBN 978-4478930748
- 『D列車でいこう』(徳間文庫 あ-51-1) 2007年5月 ISBN 978-4198931834 / ISBN 978-4198623296
- 『フェイク・ゲーム』(徳間書店) 2009年5月 ISBN 978-4198627294
- 『幸福な会社』 (徳間文庫 あ-51-2) 2011年4月 ISBN 978-4198933388
- 『会社、売ります! 幸福な会社』 (徳間文庫 あ-51-3) 2011年7月 ISBN 978-4198933890
- 『インバウンド』(小学館) 2012年7月 ISBN 978-4093863353 ※ (文庫化時に表題変更)
- 『ショウルームの女』(徳間書店) 2013年10月 ASIN B00FR1L7JU
- 『あなたの声に応えたい』(小学館文庫 あ31-1) 2014年6月 ISBN 978-4094060539 ※ (単行本『インバウンド』を改題し加筆して文庫化)
- 『横浜黄金町パフィー通り』(徳間書店) 2014年6月 ISBN 978-4198638092
- 『終電の神様』(実業之日本社文庫 あ13-1) 2017年2月 ISBN 978-4408553474
- 『終電の神様[2] 始発のアフターファイブ』(実業之日本社文庫 あ13-2) 2018年10月 ISBN 978-4408554372
- 『終電の神様[3] 始発の台風の夜に』(実業之日本社文庫 あ13-3) 2020年8月 ISBN 978-4408555928
- 『終電の神様[4] 殺し屋の夜』(実業之日本社文庫 あ13-4) 2022年8月 ISBN 978-4408557441
- 『終電の神様[5] 夜明けの行進』(実業之日本社文庫 あ13-5) 2025年6月 ISBN 978-4408559483
エッセイ(本)
- 『ワールドカップは終わらない』(復刊ドットコム) 2002年12月 ISBN 978-4835471396
- 『作家の日常』(マイカ文庫) 2014年4月 ASIN B00JR5HBMO (リンク切れ)
連載エッセイ(雑誌等)
- 月刊ふれいざー 『窓を開ければ港も見える』(Fraser Journal Publishing, Canada)1997年7月号~
- 月刊Kazi 『物書きセーラーの独り言』(舵社) 2019年3月号~
技術書
- 『FPGA設計技術の基礎と応用』(トリケップス) 1993年10月 共著 トリケップス出版部編 今井正治監修 ISBN 978-4886571502 (出版元による目次)
- 『ASIC技術の基礎と応用』(電子通信学会 コロナ社) 1994年3月 共著 今井正治編 ISBN 978-4885521201
脚注
- ^ “誕生日 68歳になる”. 阿川大樹 公式ウェブサイト (2022年12月1日). 2025年7月20日閲覧。
- ^ a b c d “タウンニュース 舞台化されることが決まった小説、『黄金町パフィー通り』原作者の 阿川大樹(たいじゅ)さん”. タウンニュース社 (2015年6月4日). 2025年7月11日閲覧。
- ^ https://x.com/agawataiju/status/1919969503133225303
- ^ “統合自然学科”. 統合自然科学科の卒業生たち(旧基礎科学科、旧生命・認知科学科の卒業生を含む). 東京大学教養学部統合自然学科 (2021年). 2025年7月11日閲覧。
- ^ “「すべては海になる」上映館 情報、5月19日(水) ゲスト”. スモールホープベイプロダクション (2010年4月26日). 2025年7月11日閲覧。
- ^ “小説作家 阿川大樹氏による分かりやすい講義開講”. コンピュータ時代の小説執筆環境. PRナビ/東京工芸大学 (2009年9月18日). 2025年7月11日閲覧。
- ^ H. Nakazato et al. (1986). “1.4ns Gate Arrays with Configurable RAM and High Testability”. ESSCIRC '86: Twelfth European Solid-State Circuits Conference (Delft, Netherlands): pp. 53-55. doi:10.1109/ESSCIRC.1986.5468284.
- ^ “オールド・アイアンサイド通り5000番地”. Design Wave Magazine 2000年2月号 (CQ出版) (No. 27): pp. 138-140. (2000/1/1) .
- ^ “The Comeback of Japanese Software Entrepreneur Kay Nishi”. WIRED (1993年5月1日). 2025年7月19日閲覧。
- ^ “ASCII 会社案内 1993-1994”. 西和彦 公式ウェブサイト. pp. 6, 14 (1993年11月1日). 2025年7月19日閲覧。
- ^ “覇権の標的(ターゲット)”. 著者紹介. ダイヤモンド社. 2025年7月11日閲覧。
- ^ “サントリーミステリー大賞 受賞作 候補作 一覧”. P.L.B. による非公式サイト (2016年4月9日). 2025年7月12日閲覧。
- ^ “小学館文庫小説賞受賞作・候補作一覧”. P.L.B. による非公式サイト (2020年10月9日). 2025年7月19日閲覧。
- ^ “城山三郎経済小説大賞 受賞作 候補作 一覧”. P.L.B. による非公式サイト (2015年2月8日). 2025年7月12日閲覧。
- ^ “D列車でいこう”. 徳間書店. 2025年7月19日閲覧。
- ^ “黄金町の再生描く小説「横浜黄金町パフィー通り」-作家・阿川大樹さん”. ヨコハマ経済新聞 (2014年7月17日). 2025年7月19日閲覧。
- ^ “AIR アーティスト > 阿川 大樹”. 黄金町エリアマネジメントセンター (2021年3月). 2025年7月11日閲覧。
- ^ “第7回国際シニア合唱祭 『ゴールデンウェーブin横浜』”. NPO法人ゴールデンウエーブ事務局 (2014年4月). 2025年7月19日閲覧。
- ^ “「横浜黄金町パフィー通り」出版記念パーティーで初披露された「地図をつくろう 黄金町の歌」”. ヨコハマ経済新聞 (2014年7月7日). 2025年7月19日閲覧。
- ^ “みなとみらい大ホールで「地図を作ろう(黄金町の歌)」”. 阿川大樹 公式ウェブサイト (2014年7月14日). 2025年7月7日閲覧。
- ^ “黄金町の再生描く小説「横浜黄金町パフィー通り」”. LOCAL GOOD YOKOHAMA (2014年7月22日). 2025年7月19日閲覧。
- ^ 小説「横浜黄金町パフィー通り」を舞台化 地元アーティストと演劇人が連携、ヨコハマ経済新聞、2015年5月27日
- ^ “エキナカ書店大賞 受賞作 エントリー作 一覧”. P.L.B. による非公式サイト (2019年12月14日). 2025年7月12日閲覧。
- ^ “終電の神様 夜明けの行進”. 実業之日本社 (2024年6月6日). 2025年7月11日閲覧。
- ^ “阿川大樹”. 日本推理作家協会. 2025年7月11日閲覧。
- ^ “コットンマム横浜店閉店”. 阿川大樹 公式ウェブサイト (2008年2月8日). 2025年7月11日閲覧。
- ^ “Kazi7月号(2025年6月5日発売)”. 舵社 (2025年6月5日). 2025年7月11日閲覧。
- ^ “エレキギターを買う”. 阿川大樹 公式ウェブサイト (2016年4月7日). 2025年7月11日閲覧。
関連項目
外部リンク
固有名詞の分類
- 阿川大樹のページへのリンク