阿仏尼と源氏物語
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「阿仏尼本源氏物語」の記事における「阿仏尼と源氏物語」の解説
阿仏尼とは、源氏物語の本文について青表紙本を定めた藤原定家の息子藤原為家の後妻であり、『うたたね』や『十六夜日記』などの作者としても知られる鎌倉時代の代表的な女性歌人・女性作家のひとりである。阿仏尼は為家の妻となって以後夫の為家とともに住んでいた邸宅においては「女主人」と呼ばれており、そこで為家が飛鳥井雅有らに源氏物語についての講釈などを行っており、その様子は飛鳥井雅有によって記された「嵯峨のかよひ」などに描かれている。夫の死後その財産相続をめぐる訴訟のために鎌倉へ赴いた際には河内学派(河内方)を打ち立てた源親行らと源氏物語の解釈などについて対等に議論を交わすなど、生前からその源氏物語に関する見識は尊重されていた。藤原定家の父藤原俊成から始まる御子左家、為家の子から始まる冷泉家において勅撰集などに歌を残した妻女は少なくないが、現在冷泉家において歴代の男性の当主と並んで遠忌が営まれている女性は阿仏尼ただひとりであるなど、現代でも冷泉家に係わる女性の中でも別格の扱いを受けている。 うたたねや十六夜日記などの阿仏尼の作品が源氏物語の影響を強く受けていることは古くから様々な点において指摘されており、阿仏尼自身もその娘紀内侍に送った「阿仏の文」の中でも優れた女房であることの条件に古今和歌集・新古今和歌集に通じるとともに「源氏物語に通じていること」をあげている。但しこの「阿仏の文」については原型は阿仏尼が作成したと見られるものの後世に手を加えられたものもあるらしく現在では内容の異なるいくつかの写本が存在しており、この記述の存在しない写本も存在する。そのためこの記述を阿仏尼自身が書いたのかどうかについては異論も存在する。
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