鉱業技術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/01 20:04 UTC 版)
鉱業技術は、露天掘りと地下掘りの2種類の掘削技法に分類される。地表掘りの方が産出量が多く、アメリカでは85%の鉱物(石油や天然ガスを除く)が露天掘りで採掘されており、金属鉱石では98%にのぼる。採掘対象は大きく2種類に分けられる。漂砂鉱床 (placer deposit) は、鉱物を含んだ砂礫層や他の固結していない沖積層に有用な鉱物が含まれているものを指す。鉱脈鉱床 (lode deposit) は、鉱物が鉱脈の形で地層の中にあり、鉱物は硬い岩の中に含有されている。漂砂鉱床と鉱脈鉱床のどちらも、露天掘りの場合もあるし、地下掘りの場合もある。 漂砂鉱床の場合、洗鉱桶などの重力を使った選鉱法を使う。不要な砂粒などを取り除くため、洗ったり揺すったりする。鉱脈鉱床の場合、鉱石を粉砕して粉末状にしないと選鉱できない。粉砕後の選鉱法には物理的手法と化学的手法を組み合わせて使う。 ウランや希土類元素の鉱山では、原位置抽出法などのあまり一般的でない技法が使われる。抽出対象となる鉱物は可溶性でなければならない。すなわち、塩化カリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、酸化ウランなど水溶性のものが対象となる。 露天掘りでは、地表の土壌や植物、場合によっては岩盤を取り除いて鉱床をあらわにさせる。地表掘りに分類される採掘技法はいくつかある。open-pit mining では、地表から大きな穴を掘り下げていって採掘する。採石場も一般に露天掘りで建材用の石を採掘する。strip mining では open-pit のように掘り下げず、地表に近いところに沿って存在する鉱脈を追って採掘していく。mountaintop removal mining は石炭の採掘によく見られ、山の山頂や稜線に沿って採掘を行う。漂砂鉱床は地表に近いところにあることが多いため、露天掘りされることが多い。landfill mining はゴミなどを埋め立てた場所(最終処分場)を採掘し、なんらかの資源を取り出す技法を指す。 地下掘りは坑道や縦坑を掘り、地下の鉱脈を採掘する技法である。採掘した鉱石や不要な岩などは坑道や縦坑で地表まで運搬する。地下掘りは坑道の種類や掘削方法で分類される。ひ押し掘りは、水平方向に坑道を掘っていく方式を指す。斜坑掘りは斜めに坑道を掘っていく方式、立坑(縦坑)掘りは垂直な縦坑を掘って行く方式である。他にも、shrinkage stope mining は地下の部屋から上方に向かって掘り進んでいく場合を指し、長壁採掘法は鉱脈に沿って坑道を掘り、その壁面から一斉に採掘する方式を指す。また、鉱床が広く分布する場合は上の重量を支える柱を適当に残しつつ、部屋を作るように掘り進める柱房式採掘法もある。柱房式採掘の最終段階では、柱を取り除いて人為的に落盤させ、上の岩盤に含まれていた鉱石を採取しやすくする retreat mining という手法を使うことが多い。
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