鉄道貨物の特別取扱
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 06:56 UTC 版)
日本ではかつて鉄道貨物の特別取扱が行われていた。 瓲扱い(ぐらむとんあつかい) - 貨物は発駅で受託されて、鉄道の負担で積み卸しおよび運搬を行われ、着駅で荷受け人に引き渡されるのみであった。運賃は瓲単位であることからの名称である。運賃は小口扱いよりは安いため、小口扱いには大きくて、貸切扱いには小さい貨物(2トン〜5トン、ほど)の託送に適していた。ただし一部の貨物は瓲扱いは適用されなかった。 小口扱い(こぐちあつかい) - 運賃は 10 kg 単位で、少量の貨物に適していた。発駅で受託されて貨物列車で運送され、着駅で引き渡されるのが原則であるが、6 km以内の地域に限って荷主の請求によって一定の料金で集貨および配達が行われ、駅留で受託されたものであっても荷受け人の請求で有料で配達される。ただしこの扱いは小口扱いに対して貨物等級の定めがない貨物、危険品、火薬類の一部の物には適用されない。運賃に集配料金が含まれていないから特別小口扱いよりも安いが、積み卸し作業の料金は含まれ、また少量単位であるから貸切扱いよりは高くなる。 宅扱い(たくあつかい) - かつては特別小口扱いと称した。小口扱い、瓲扱い、貸切扱いに対して、贈答品などの少量の貨物に適した扱いで、荷送り人の宅から発駅までの集貨および着駅から荷受け人の宅までの配達が、別料金を取られずに、かつ迅速に行われた。ただし集貨および配達のいずれも、駅から約 6 km 以内の地域内であった。またこの扱いの貨物は輸送列車が定められて特に急送されるので、急ぎの品物、腐敗しやすい物などに便利であった。 特別小口扱い(とくべつこぐちあつかい) - 少量貨物の無料集配付速達の扱いである。発駅から6 km以内(鉄道所定の集配区域内)であれば一定の大きさの制限以内の物に限って無料で集貨される。電話、はがき、伝言などで貨物の品名、概算数量、行先などを述べ、発駅および鉄道指定の運送店に申し込む。運送は毎日、一定の列車で行われ、駅渡希望のものまたは貨物引換証などを要するものの他は、着駅から6 km以内の届け先まで無料で配達される。少量の急を要する貨物に適し、運送状を作成する必要がないから便利であった。ただし、小口扱いの等級のない貨物、危険品、汚穢品または1個の長さ4.5 m、重量200 kg、容積1立方メートルを超えるもの、運賃が無賃となるもの、2割を越えて運賃を低減するものなどに対してはこの扱いは行われない。運賃は等級によらず、距離と重量とのみによって1口ごとに計算されるが、特別の貨物は最小5割、最大20割の割り増しが付加される。すなわち運賃は、鉄道、航空、自動車それぞれ別に計算し、発着区間を合算するのが本則であるが、宅扱いのみは鉄道省営の航路、自動車線の粁程はもちろん、内地の連帯鉄道線にまたがる場合でも通算される。その賃率には普通賃率と特別賃率とがあって、生活必需品には特別賃率が適用され、「嵩高」な軽量品には5割増し、10割増し、20割増しがあった。運賃の支払いは着払いにすることができた。運賃には集配料金が含まれ、貨物の取扱いのなかで最も高くなる。特別小口扱いは昭和10年10月1日、一般的貨物運賃の改正にあたって制度ならびに内容が変更され、運賃が引き下げられるとともに「宅扱い」と改称された。 貸切扱い
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