鉄道トンネルとしての利用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/20 04:12 UTC 版)
「テムズトンネル」の記事における「鉄道トンネルとしての利用」の解説
トンネル建設に投資した人にとって明らかに救済となったのが、1865年9月にトンネルがイースト・ロンドン鉄道に買収されたことであった。この会社はワッピング(さらには後にリバプール・ストリート駅)とサウス・ロンドン線(英語版)の間で旅客と貨物を輸送する鉄道連絡を行うためにこのトンネルを使おうと考えた6つの本線鉄道会社のコンソーシアムであった。当初の設計では馬車を通すために考えられていたことから用意されていた余裕のあるトンネル断面の高さは、鉄道の車両を通すためにも十分な車両限界を実現できた。トンネルを通る最初の列車は1869年12月7日に運転された。1884年には、北岸の使われなくなった建設用立坑がワッピング駅(英語版)となった。 イースト・ロンドン鉄道は後にロンドン・オーバーグラウンドに吸収され、そのイースト・ロンドン線となった。1962年までは貨物輸送を行っていた。地下鉄として運行されていた当時、テムズトンネルは地下鉄の構造物の中では最古のものであった。 イースト・ロンドン線とジュビリー線延長区間の間でカナダ・ウォーター駅(英語版)で交差を建設することが計画された。このためにはイースト・ロンドン線を一時休止することが必要であったため、この機会にトンネルの長期補修を行うことになった。1995年にイースト・ロンドン線は建設・補修工事のために休止となった。提案されたトンネル補修工法は、漏水を防ぐために吹き付けコンクリート(英語版)を実施するもので、これにより当初のトンネルの外観を完全に損なうことから、できるだけ作業を安価に素早く完了させたい当局と、トンネルの外観を保存することを望む建築物に関心のある人たちの間で厳しい議論を巻き起こした。ロンドン地下鉄が長期補修を開始する予定としていた1995年3月24日に、トンネルが第2級登録建造物に記載されたことで保存を望む人たちが勝利を収めた。 トンネルの一端の短区間は補修工事を行わないままとし、また残りの区間についてもより配慮した補修工事を行うことで合意がなされ、補修工事は実施されて、当初予定していたよりもかなり遅れて1998年に使用が再開された。イースト・ロンドン線延長工事のために2007年12月23日から再度運転が休止され、線路の敷設作業と信号の改良作業が行われた。この延長工事によりトンネルはロンドン・オーバーグラウンドの一部となった。2010年4月27日に運転が再開されたのちは、再び本線の列車が走るようになっている。
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