遺伝要因
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 22:56 UTC 版)
DSM-5によれば、ギャンブル障害は家族内に集積しうる。これには環境的および遺伝的要因の両方に関連しているようである。賭博の問題は二卵性双生児よりも一卵性双生児でより多く起こる。ギャンブル障害はまた一般人口の中よりも、中等度から重度のアルコール使用障害の人の第一度親族でより頻度が高い。 Slutske WSらはギャンブル障害のリスクに関して双生児研究を行い、リスクの分散の49.2%が遺伝的影響で説明され、ここに男女差がないことを示した。また、残り約50%が環境要因であるが、共有環境(互いを似せる方向に働く環境:ほぼ家庭環境)の影響は0%で、環境は非共有環境(互いを似せない方向に働く環境)として影響することを示した。この比率はビッグファイブ(「神経症傾向(N)」「外向性(E)」「経験への開放性(O)」「協調性(A)」「誠実性(C)」)などの性格とよく似ており、性格と同程度に遺伝性が想定できる。 ギャンブル障害をきたす者の血縁関係をみると、ギャンブル好きや大酒飲みが存在することが多く、ギャンブル障害である親の20〜30%、兄弟姉妹の14%がギャンブル障害もしくはその予備軍であるという調査結果が存在する。さらに考察を全般に広げた場合、親の40〜50%、兄弟姉妹の36%がアルコール使用障害または薬物依存症であるという調査結果も存在する。 ただし親子ともにギャンブル障害であるとしても、遺伝的以外の要因、たとえば幼少期にしばしば親に連れられてギャンブル場に足を踏み入れたため、ギャンブル場への心理的障壁が低くなったというように、家庭環境が関与している可能性も考えられる。 またギャンブル障害の場合、発症に遺伝的要因が関係しているとしても、ひとつの遺伝子によって発現が決定されるということはなく、複数の遺伝子が作用していると考えられている。
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