遺伝子発現調節の研究手法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/31 15:53 UTC 版)
「遺伝子発現の調節」の記事における「遺伝子発現調節の研究手法」の解説
詳細は「核酸の研究手法(英語版)」および「タンパク質の研究手法(英語版)」を参照 一般的に、遺伝子発現の差を調べる実験では、どの遺伝子がどの程度変化したかを決定するために、定常状態の全細胞からの抽出RNAが用いられる。この手法では、どこで調節が行われているかについての情報は得られず、競合する調節プロセスを覆い隠してしまう可能性があるが、現在でも定量PCRやDNAマイクロアレイなどで最も広く用いられる手法である。 遺伝子発現の研究には、さまざまなステージを観察するいくつかの手法がある。真核生物においては、次のようなものが含まれる: ある領域の局所的なクロマチンの環境は、RNAポリメラーゼII、ヒストン H3の修飾、Trithorax群タンパク質、Polycomb群タンパク質や、そのほか、良い抗体が利用できるDNA結合エレメントを用いたプルダウンによって、ChIP-chip(英語版)法で決定される。 エピスタティックな相互作用は、synthetic genetic array によって調べられる。 転写後調節のために、転写率と全RNA量は大きく異なる。転写率の測定には、nuclear run-on アッセイが用いられる。放射性同位体を用いたラベリングに代わって、チオール基を用いたラベリング法も開発されている。 核内で合成されるRNAのうち核外に出るのは5%のみであり、イントロンだけでなく、abortive initiation による産物、ナンセンスな転写産物が分解される。核内と細胞質の量の差は、穏和な細胞溶解によって2つのフラクションに分画することで観察が可能になる。 オルタナティブスプライシングは、スプライシングアレイやタイリングアレイによって分析される。(DNAマイクロアレイを参照) 生体内のRNAはタンパク質と結合し、リボヌクレオタンパク質複合体を形成している。特定のタンパク質に結合している転写産物の量は RIP-Chip(英語版)によって分析される。デキャッピング酵素 Dcp2(英語版)に結合するRNAは隔離された転写産物の、リボソームに結合するものは活発に翻訳されている転写産物の指標となる。 タンパク質の量は質量分析によって分析される。質量分析のデータは定量PCRのデータと比較可能である。マイクロアレイのデータは相対値であり絶対値ではないことに注意を要する。 RNAとタンパク質の分解率は、転写阻害剤(アクチノマイシンDやα-アマニチン)や翻訳阻害剤(シクロヘキシミド)をそれぞれ利用して計測される。
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