遺伝子発現の調節における役割
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/29 14:08 UTC 版)
「Damメチラーゼ」の記事における「遺伝子発現の調節における役割」の解説
DamはRNAの転写の促進と抑制にも関与している。大腸菌では、下流のGATC配列がメチル化されている場合、転写は促進される。例えば、尿路病原性大腸菌のP線毛(pyelonephritis-associated pili、PAP線毛、腎盂腎炎関連線毛)の相変異は、PAPプロモーターの近位と遠位の2か所のGATC部位のDamによるメチル化によって制御されている。 大腸菌ではDamメチラーゼはタンパク質の調節の役割を果たしていており、Damメチラーゼの遺伝子は非必須遺伝子で、遺伝子をノックアウトしても細菌は生存する。dam遺伝子をノックアウトしても生存が維持されることは、サルモネラやAggregatibacter actinomycetemcomitansでも観察されている。一方でコレラ菌Vibrio choleraeや仮性結核菌Yersinia pseudotuberculosisなどの生物では、dam遺伝子は生存に必須である。Aggregatibacter actinomycetemcomitansでのdam遺伝子のノックアウトはタンパク質ロイコトキシン(leukotoxin)レベルの調節異常と、口腔上皮細胞への侵入能力の低下をもたらす。さらに、歯周病原因菌であるStreptococcus mutansでのDamメチラーゼ欠損の研究からは、齲蝕原性を有するものを含む、103の遺伝子に調節異常がみられることが明らかにされた。
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