遡及的ギャンブラーの誤謬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/22 14:35 UTC 版)
「ギャンブラーの誤謬」の記事における「遡及的ギャンブラーの誤謬」の解説
研究者は、既知の後続の事象から未知の過去の事象について推論する場合に同様のバイアスが存在するかどうかについて検証し、これを「遡及的ギャンブラーの誤謬」(retrospective gambler's fallacy)と呼んでいる。 この例として、コイントスで連続して表が出たのを見たときに、それ以前の見ていないコイントスで裏が出ていただろうと推定することが挙げられる。現在の痕跡から宇宙の起源を推定することが、遡及的ギャンブラーの誤謬の現実世界における例だと主張される。 哲学者ジョン・A・レスリー(英語版)は著書Universesの中で、「性質が大きく異なる非常に多くの宇宙の存在が、少なくとも一つの宇宙が生命を許容する性質を持っている理由についての我々の最良の説明だろう」と主張している。ダニエル・オッペンハイマーとブノワ・モニンは、「言い換えれば、低確率の事象に対するこの『最良の説明』は、それが複数の試行のうちの1つであり、逆ギャンブラーの誤謬の中核的な直感であるということである」と主張している。そのような議論が誤謬であるかどうか、すなわち、我々の宇宙の発生からは他の宇宙の存在や宇宙発生の試行について何も述べることはできないという主張についての哲学的議論は進行中である。スタンフォード大学の学生によるものを含む3つの研究で、遡及的ギャンブラーの誤謬の存在が検証された。3つの研究はいずれも、人々はギャンブラーの誤謬を遡及的に、また将来の事象に対して持っていると結論付けた。3つの研究の著者はいずれも、彼らの発見は重要な「方法論的意味合い」を持っているが、調査と研究を必要とする「重要な理論的意味合い」も持っていると結論付けた。ある研究の著者は、「このような推論プロセスを完全に理解するには、それらが将来の予測にどのように影響するかを調べるだけでなく、過去の認識についても調べる必要がある」と述べている。
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