えんしん‐き〔ヱンシン‐〕【遠心機】
遠心機
実験機器で、大きさや重さの異なる物質を容器に入れて高速で回転させ、遠心力をかけた状態での移動速度の差を利用して分離するための機器。用いる遠心力の大きさや容器の大きさに応じた様々な機種が存在する生物学実験のための基本的な装置。
実験方法装置単位など: | 過マンガン酸塩滴定 遠心ろ過法 遠心分離法 遠心機 選択培地 遺伝地図 遺伝子ターゲティング |
遠心機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/06 01:33 UTC 版)
遠心分離に使用される装置を遠心機(えんしんき、centrifuge)と呼び、筐体とその内部の回転子とで構成される。手回し式のギアで回転させるものから、高速電動モーターで回転させるものまでさまざまである。 遠心機の能力は発生する遠心力をG(重力加速度)で計測した値で示され、数千Gまでかけられるものを遠心機、数万G以上をかけられるものを超遠心機 (ultracentrifuge) と呼び区別している。 回転子は用途によりさまざまな形状が存在する。試料容器は沈殿管(ちんでんかん)と呼ばれるが、試験管、スピッツ管、ディープウエルプレート、マイクロチューブなどさまざまな形状の容器が使用されるため、通常はアダプター交換によりさまざまな容器に対応できるようになっているものが多い。 回転速度により遠心力ベクトルが変化するため、管の向きが常に遠心力に対して鉛直に保たれるように、アダプターが振り子式の支点で回転子に保持されているものが多いが、管の角度が常に一定になっているものもある。ここで、回転子の重量配分に偏りがある状態で高速回転させると大きな振動が発生し、最悪の場合には遠心機が破壊される恐れもあるので、サンプルは重量配分に偏りが無いようにセットされる。 超遠心機では、種々の部位による摩擦による発熱が無視できないので、生化学用の超遠心機にはサンプルを冷却する仕組みが備えられたものもあり、これらは冷却遠心機と呼ばれる。場合によっては減圧にすることで、空気との断熱圧縮を減らす冷却遠心機も存在する。 工業用遠心機 工業用では砂糖の精製や、乳脂肪分を分離するために遠心機が利用されている。また化学工業用には結晶とろ液を分離する為の布張りの遠心機が利用されることもある。 ガス遠心分離装置 六フッ化ウランガスを超遠心機にかけると、原子量の違いにより同位体濃度に勾配が発生する。遠心機の原理で同位体を分離する装置をガス遠心分離装置と呼ぶ。ガス遠心分離装置は天然ウランから濃縮ウランを製造するウラン濃縮工場でも使用されており、核兵器の製造にも使用できることから、核拡散防止のために輸出入が制限されることがある。 超遠心機の発生する数十万Gであっても、同位体の濃度勾配は極めてわずかであるため、高濃度側と低濃度側のガスをそれぞれ別の遠心分離装置に導き、多段階で分離を行う。段数を多くすることで、同位体を高度に濃縮することができる。 遠心エバポレーター 遠心機を減圧すると、遠心力が溶液の突沸を押さえ込むため、試験管やディープウエルプレートなど微少量の溶液サンプルを小容量の容器のまま蒸発・乾固させることができる。このような目的で設計された遠心機を遠心エバポレーターと呼ぶ。 回転子の構造は超遠心機と同様であるが、筐体が減圧可能になっており、サンプル容器を赤外線輻射や温風の注入などで加温できるようになっている。
※この「遠心機」の解説は、「遠心分離」の解説の一部です。
「遠心機」を含む「遠心分離」の記事については、「遠心分離」の概要を参照ください。
遠心機と同じ種類の言葉
- 遠心機のページへのリンク