運用・観測状況
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/11 05:08 UTC 版)
「広域赤外線探査衛星」の記事における「運用・観測状況」の解説
デルタIIロケットによる打ち上げは、当初2009年12月11日が予定されていたが、ブースターロケットのステアリングエンジンの不調によって延期された。打上げは2009年12月14日に再設定され、14時9分33秒(UTC)にカリフォルニア州のヴァンデンバーグ空軍基地からの打上げが成功した。地球から525kmの予定された極軌道への投入にも成功した。 WISEは、1カ月の自己点検を行ない、全てのシステムは正常に動いている。観測装置の開口カバーは2009年12月29日に無事外されて投棄された。WISEのファーストライトの画像は2010年1月6日に公表された。WISEの4つの波長のうち、3.4(青)、4.6(緑)、12(赤)µmの波長で8秒間露光した、りゅうこつ座の方向の画像だった。 2010年1月22日、WISEの観測によりアモール群の小惑星2010 AB78の発見が発表された。 2011年8月24日、WISEの観測により、これまでで最も低温の褐色矮星WISEPA J182831.08+265037.8が発見された。この褐色矮星の大気の温度はわずか25℃である。 2011年9月30日にNASAはWISEの観測結果から、中規模サイズ(100mから1km)の地球近傍小惑星の数は、想定していた35,000個ではなく約19,500個と見積もられることを発表した。直径が1kmを超える小惑星は約1,000個存在するとされていたが981個に下方修正された。うち911個は既に発見されているため、全体の93%を特定できたことになる。また今後2,3百年はこのサイズの小惑星が地球へ衝突する脅威はないことを確認した。 2013年3月8日、ケビン・ルーマンはWISEのデータから、ほ座の方向にWISE J104915.57-531906.1という新しい褐色矮星の二重星を発見したと発表した。この二重星はわずか6.52光年の距離にあり、褐色矮星では最も近く、全天体でもケンタウルス座α星の3つの恒星と惑星、およびバーナード星に次いで6番目に近い天体である。 2014年3月7日、NASAは、太陽系内に存在が予測されている仮説上の天体「惑星X」について、WISEの観測データからはその存在を示す証拠は発見できなかったと発表した。また、WISEの観測データから「太陽より26,000天文単位以内に新たな木星質量(地球の約318倍)以上の天体は存在せず、10,000天文単位以内では土星質量(地球の約95倍)の天体も存在しない」という研究結果がまとめられた。
※この「運用・観測状況」の解説は、「広域赤外線探査衛星」の解説の一部です。
「運用・観測状況」を含む「広域赤外線探査衛星」の記事については、「広域赤外線探査衛星」の概要を参照ください。
- 運用観測状況のページへのリンク