逆浸透法 (RO:Reverse Osmosis)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/12 01:36 UTC 版)
「海水淡水化」の記事における「逆浸透法 (RO:Reverse Osmosis)」の解説
海水に圧力をかけて逆浸透膜(RO膜、Reverse Osmosis Membrane)と呼ばれる濾過膜の一種に通し、海水の塩分を濃縮して捨て、淡水を漉し出す方式である。フラッシュ法よりエネルギー効率に優れている反面、RO膜が海水中の微生物や析出物で目詰まりしないよう入念に前処理する必要があること、整備にコストがかかること等の難点がある。生成された淡水の塩分濃度は蒸留を行うフラッシュ方式と比較して若干高く、100ppm未満である。1990年代までは比較的小規模のものが多かった。しかし、近年は日量1万トンを超える大型プラントは、世界的に大部分がこの形式で建設されている。 RO膜は元の海水の塩分濃度が高いほど、また得ようとする淡水の塩分濃度が低いほど高い圧力をかけて濾過する必要があるが、例えば平均的な塩分3.5%の海水から日本の飲料水基準に適合する塩分0.01%の淡水を得る場合、2005年現在で最低55気圧程度が必要である。このためRO膜は圧力に耐えるよう、以下のいずれかの構造で造られる。 パスタ程度の太さで中が空胴の糸状に成型し、外側から内側へ濾過する(中空糸膜(ちゅうくうしまく)という)。 1枚の濾過膜を、強度を保つため丈夫なメッシュ状のサポートと重ね合わせて袋状に閉じ、これをロールケーキ状に巻いてその断面方向から加圧する(スパイラル膜という)。 加圧にはタービンポンプやプランジャーポンプなどの高圧ポンプが使用される。 2002年時点で、m3あたり3kwh程度で製造でき、単価は170円毎m3以下という報告がある。 2005年現在、世界最大の逆浸透法海水淡水化プラントはイスラエルのアシュケロンにあり、日量33万トンの淡水を工業用や家庭用に供給している。他に中東地域、地中海沿岸、シンガポールなどに大型プラントが多い。日本最大のものは福岡市東区にあるまみずピアで、淡水供給量は日量5万トンである。 なお、2006年現在、世界で海水淡水化用の逆浸透膜を最も多く製造している国は日本であると推定されているが、生産国が日米欧以外の国々に拡大し、それらの国々での統計データが不明であることから、必ずしも正確ではない。
※この「逆浸透法 (RO:Reverse Osmosis)」の解説は、「海水淡水化」の解説の一部です。
「逆浸透法 (RO:Reverse Osmosis)」を含む「海水淡水化」の記事については、「海水淡水化」の概要を参照ください。
「逆浸透法」の例文・使い方・用例・文例
逆浸透法と同じ種類の言葉
- 逆浸透法のページへのリンク