逆潮流
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/28 20:53 UTC 版)
家庭や工場といった通常は電力を消費する側が、反対に電力系統へ電気を送り出す電力のことを「逆潮流」と呼ぶ。電力系統内で配電する電力の容量は電力消費の大小、つまり需要に応じて設計されているが、逆潮流ではこの設計時に想定しなかった供給者が電力系統へ加わることになる。 品質維持 代表的な逆潮流の問題点に、電圧変動と周波数変動がある。電力系統でも大規模な送電系統では、中央給電指令所の集中監視の下で主に発電所の調速器によってこれら電力供給での品質が維持されているが、電力会社が発電量をコントロールできない逆潮流が多量に流入すると、電力の周波数安定性と電圧維持が困難になり発電所の解列(送電網からの切り放し)が行われると考えられる。 位置による不平等 事業所発電のような大規模な発電を逆潮流として受け入れる場合には電線や変圧器にオンロードタップ切換器(OLTCまたはLTC)を設置し、電圧降下を調整するなどの一定の対応が行えるが、無数の小規模な発電への対応は変圧器のタップだけでは問題となる可能性がある。例えば、同一の変圧器によって配電される住宅地内の複数の家が発電した電力を同時に逆潮流として流せば、その分だけ電圧は電線や変圧器などの許容量に応じて局所的に上昇する。日本では、電気事業法第26条および電気事業法施行規則第44条の定めにより101±6Vや202V±20Vの範囲内に収める必要があり、これを超え各家ごとに備わったパワーコンディショナが規定通り機能すれば無効電力として売電されない。また変圧器から遠い家では電圧上昇の影響を大きく受けるため、変圧器に近い複数の家が逆潮流を行えば配電系統の末端側は常に電圧の規定値上限近くになってしまって、最悪の場合末端側の家は発電して余った電力を全く売電できなくなる可能性がある。 このように、将来家庭での発電と売電が普及した時に家の立地によって売電できなくなる事態を避けるため、変圧器を増やして逆潮流を行いやすくする対策が議論されている。
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