逆利用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/05 01:36 UTC 版)
低体温症では、体中心温度の段階によって様々な症状が発生し、最終的には意識喪失・心肺機能停止による仮死・生理機能停止による死亡に至る。しかし逆に低体温状態には組織の代謝を低下させることによる保護的な作用もあるため、さまざまな応用が試みられている。 例えば日本では1990年代に始まった脳低温療法は、冷却ブランケットなどを用いて人為的に低体温を起こし、脳を保護するという治療法であり、実際に臨床で使用されている。脳外傷の蘇生後などが適応となる。冬季に溺水した子供が通常は蘇生できないほど長時間(一般には心肺機能停止から3 - 10分以内程度であるが、同事例では40分 - 3時間)水の中にいたにもかかわらず蘇生し回復した例が報告されているが、これは冷水が身体を冷やし偶然低体温療法的に作用したためと考えられている(上記参照)。 他にも低体温状態で心臓手術を行う方法が、当時のソビエト連邦で開発された。脳外科手術、熱中症、インフルエンザ関連脳症治療等に利用される。また低体温症による仮死状態を上手にコントロールすれば、酸素消費や食糧消費を抑え、老化も抑えられる可能性もあるため、長時間の宇宙旅行においては、それを利用した「人工冬眠」をクルーに使わせることも考えられており、これらの研究は、恒星船等への応用が期待されている。
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