身体的負担
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/26 15:18 UTC 版)
客や出演者と身体的な接触を持つセックスワーカーにとって、大きな負担の一つに体液、粘膜接触によって起こる性感染症のリスクがある。性病感染はセックスワーカーにとって、身体的、精神的な負担であると共に、治療費や休業などによる経済的な負担ともなる。 本来、セーファーセックスを徹底する事で性感染症のリスクは抑えられるものの、様々な理由からそれが実施できない事がある。最も効果的な対策の一つはコンドームの使用であるが、特に個人で活動しているセックスワーカーにとって、顧客とのコンドーム使用を交渉する事は容易ではない。顧客の拒絶や暴力を恐れコンドーム使用の交渉をしないセックスワーカーも多い。地域によってはコンドームの携帯が売春の疑いでの摘発対象となる場合もあり、準備したくてもできない場合がある。そのような社会的背景が性感染症のリスクを増大させ、セックスワーカーを危険にさらしていると指摘される。2003年に売春が合法化されたニュージーランドではコンドーム着用を義務付ける法律があり、従わない客には罰則があたえられる。 医療従事者のセックスワークへの理解が乏しいこともあり、セックスワーカーの為の性教育は当事者団体が提供するものを除けば少ない。その為、多くのセックスワーカーは個人で工夫してセーファーセックスを行う必要性に迫られている。「病院に行っても、どのように話したら良いのか分からない」という悩みを抱える若者もいることから、匿名で検査のできる性病検査キットが販売されている。セックスワーカーの組織化(前述)や当事者同士の活発な情報交換によりセーファー・セックスへの理解が深まり、コンドームの使用率が上昇する事が示されている。セックスワーカーの中ではシスジェンダー男性を客にとるセックスワーカーがもっともHIV感染リスクが高いとされている。中でも、シス男性を客にとるトランス女性のセックスワーカーは、複層的なスティグマにより社会保障がさらに受けにくいのに加え、セーファーセックスに対する情報も更に限られるなどの理由から、他のセックスワーカーやセックスワーカーでないトランス女性よりも高いリスクに晒される。
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