貨幣の起源・機能
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/20 10:19 UTC 版)
貨幣の起源は、市場や貿易の起源とは別個にあるとされる。貨幣の機能には、(1)支払い、(2)価値の尺度、(3)蓄蔵、(4)交換手段があり、いずれか1つに使われていれば貨幣と見なせる。 貨幣の4つの機能は、それぞれ異なる起源を持つ。(1)支払いの貨幣は、責務の決済を起源とする。賠償、貢物、贈物、宗教的犠牲、納税などがこれにあたる。(2)価値尺度の貨幣は、物々交換や財政の管理を起源とする。歴史的には単位のみで物理的に存在しない貨幣もある。(3)蓄蔵の貨幣は、財や権力の蓄積を起源とする。食料や家畜、身分を表す財宝などがこれにあたる。(4)交換の貨幣は、財を入手するための交換を起源とする。売買がこれにあたる。4つの機能をすべて備えた貨幣が使われるようになるのは、文字を持つ社会が発生して以降となる。 前述のように貨幣には4つの機能があり、いずれかに使われていれば貨幣と見なせる。歴史的には、用途によって特定の機能の貨幣があり、複数の貨幣を組み合わせていた。バビロニアでは価値尺度としての銀、支払い用の大麦、交換用の羊毛やナツメヤシなどを使い分けた。中国の漢では賜与や贈与の目的や立場に応じて、金、布帛、銅が厳密に使い分けられた。日本の江戸時代では江戸幕府が石高制のもとで米を価値の尺度として、金・銀・銅(銭)を三貨制度として統合した。
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