議論状況分析
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 02:20 UTC 版)
我妻栄は、1961年の著作で、民法750条の夫婦同氏規定には以下の2つの批判があるとした。 妻が改氏することが多い一方で改氏しない側が戸籍筆頭者となるのは、夫婦の平等の理想の向上に害がある。 知名度が高い場合などの妻の改氏は妻にとっても社会的に不利である。 法務委員会調査室の内田亜也子は、2010年の論考で、選択的夫婦別姓について、戦後個人の価値観が多様化し賛成論が広がってきたとしている。反対論は、 夫婦とその未成年の子からなる集団を『家族』とし、その構成員の氏が同一であることが望ましいという考え方に基づいている と解釈している。一方、賛成論は、 これからの家族法は、家族を構成する個人相互の関係として規律するべき 家族法の個人主義化は行き過ぎだが、現行家族法の公序の組替えが必要 個人としての独立性を示すとともに、家族の一体性をも示したいという要請にも配慮する形で導入すればよい の3つに分けられる、としている。 社会学者の阪井裕一郎は2011年の論考で、「同姓原則論者」の中にも男女平等の観点から創姓や複合姓を提唱する論者やフェミニストもいる一方、「家名の継承」等の理由から「選択的夫婦別姓法制化」を求める保守層もおり、選択的夫婦別姓をめぐる論争は、「同姓=家族主義、保守」/「選択的夫婦別姓=個人主義、リベラル」のような二項対立ではない、としている。その上で阪井は、議論は 夫婦同姓原則論(複合姓論、創姓論の導入を主張しつつ法制化に反対する論を含む) 選択的夫婦別姓法制化賛成論(家名の継承などの理由による賛成も含む一般的な賛成論) 法律婚批判、戸籍制度廃止(届からの自由を求める論。法制化には反対) 選択的夫婦別姓法制化賛成、戸籍制度廃止(届からの自由への次善策としての賛成論) に類型化できる、としている。
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