設置環境による影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/07 08:13 UTC 版)
地震計の設置環境によっては、本来の地盤の応答を正確に記録できないことがある。日本国内で発生した地震においても、震度計が周辺のものに比べて際立って高い結果を出すことがある。その理由として、地震計の設置された地盤や路盤によるもの(崖の周辺や泥地への設置など)と、地震計そのものの設置状況によるもの(地震計と土台の間に隙間があいている、地震計が傾いているなど)がある。 1995年1月17日 - 兵庫県南部地震 : 兵庫県神戸市などで最大震度7を観測。大阪府大阪市中央区にある震度計が震度4を示したが、震源から遠い京都府京都市の震度計が震度5を示した。それは気象庁が設置した震度計が地盤が強固な上町台地にあり、実際よりも震度が低く出た。日本道路公団が阪神高速11号池田線に設置した震度計は、震度7を示した。 2008年5月8日 - 茨城県沖を震源とする地震 : 茨城県水戸市と栃木県茂木町で最大震度5弱を観測。茂木町の震度計では、1キロ程度離れた位置のものが震度3を示したことや、周辺住民から体感震度と違うなどといった声があり調査。結果、斜面の近くに設置されていたことから1〜2段階高い震度を表示することがわかった。2009年に別の場所へ移設。 2008年6月14日 - 岩手・宮城内陸地震 : 高感度地震観測網一関西観測点(岩手県一関市)では、最大加速度4022ガルを観測したが、観測施設の設計上の問題によりロッキング振動が生じ、自由地盤(地表そのまま)の加速度を記録していなかった。2013年現在、観測施設は休止中。 2008年7月24日 - 岩手県沿岸北部地震 : 岩手県洋野町で最大震度6強を観測。その後、数百メートル離れた位置に仮設震度計を設置したところ、既設のものが1段階程度高い観測をすることが判明。確認後に震度観測をやめたほか、気象庁での使用を中止した。 2011年3月11日の東日本大震災の余震では、茨城県鉾田市にある震度計1箇所が盛り土の上に設置されており、近隣の震度計よりも高い結果が出ることが多かった。4月21日にこの震度計の使用は中止された。
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